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59 子が道を探す姿・親が道を示す姿

59 子が道を探す姿・親が道を示す姿

お陰様で小欄をお読み頂いた方からの反応が徐々に出ています。過日は海外在住で近々に帰国されるという方からのご感想メールを頂き、感激しています。また、海外における日本人学校のあり方、帰国子女の入試など私自身が学ぶべきこと・考えさせられることについてもご教示頂きました。この場を拝借して御礼申し上げます。

昨今のご家庭では『子供の自主性に任せて志望校を決めます』『子供の意志で将来を探させます』『勉強したいならさせるし、したくないならそれでいい』というスタンスのご家庭が非常に目立ちます。確かに戦後の民主主義を語るにおいては個人の意志は最大限尊重するべきものです。自分は望まない進路を強要された、だからせめて我が子には自分の望む道を歩ませたい、そう思う親御さんのお気持ちは理解しないわけではありません。しかしこれは履き違えてはいけない、非常に難しいポイントなのです。つまり親御さんは我が子の『意志』と『わがまま』をきちんと見分けて欲しいのです。

各論で事例を挙げることはいたしませんが、お子さんが明らかに間違えた判断を下してそれをご家庭が是認することは将来に対して大きな禍根を残すことに他なりません。それを『子供がこう言っているので・・・』とお子さんのせいにしていませんか? それを正すのは親御さんの責任だと思います。

一般論としてあちこちの塾に入会・退会を繰り返しているケースはこれに該当するのではないでしょうか。以前はあまり目にしませんでしたが、昨今はこのようなケースも目立ちます。確かに勉強は大変です。避けて通りたいものだと思います。だからと言ってその一線を踏み越えてしてしまえば後々悔やむことの出来ないような事態になるのです。それを回避するためには親御さんが正しい(とされている)方向に導いて欲しいのです。

また、進路についてご家庭・保護者様の意向が全く反映されていないことが多くなっていることは前述の通りです。進路について相談する場合、①学校の先生 ②塾スタッフ(ありがたい話ですが) ③出版物(学校などで配布される印刷物を含む) ④ネット情報 の順となっているそうです。それに対して都内高校御三家クラスで理事長をお務めになっている先生は『最初に親と相談しなさい』と一刀両断にされていました。考えてみれば当たり前のことです。お子さんのことを一番知っている社会人は紛れもなく親御さんです。それを飛び越えて他人である教員や塾スタッフの言葉を優先することはおかしな話です。『情報がないから』という声も聞きますが、情報は親御さんとお子さんがきっちり話し合ってから探すことで十分に事足ります。方針だけでもご家庭できちんと形成し、その上で『こんな学校がある』『こんな進路がある』とした方が納得できる将来ではないかと思います。

保護者様には『我が子に一番身近な社会人である』ことを再度見つめ直して欲しいと思います。