中学生の社会は1・2年生が歴史地理、これは従来と変わりないのですが、中学3年生の学習では指導要領の関係で夏休み前まで歴史(主に近代史)の学習に費やされます。
公民は9月に入ってからの実施となりますが、教科書の内容・厚さは従来と変わっていないのです。つまり、学習範囲と学習期間の関係は実質5割増し、57章で述べた12月までに終わらせるとすれば9月から11月の3ヶ月、1/3以下の期間で完成させなければならないのです。
学習期間が短くなるのなら教科書を工夫して学習を進められるようにすべきと思いますが、現実的にはきっちりと終わらせられずに年明けの授業は1時間で20ページも30ページも進むような授業にせざるを得なくなります。
それでも終われば良いのではないでしょうか。教科書内容さえ終わらずに『あとは自分で進めておくように』と仰る先生の何と多いことか… 私の立場であれば未習箇所を残した状態で生徒を入試会場という戦場に送り出したくはない、日頃からこのように考えて学習計画を進めています。
建前として、歴史地理は文学系に分類される学問領域なのに対し、公民は法学・経済学という実社会で活用される学問です。それらをきちんと修得せずに(上記のような時間で習得できるものではないと思います)中学校を修了するのは些か問題ではないでしょうか。もしかしてこれは国民の権利さえ教えない国家の陰謀ではなかろうか、と穿った見方さえしてしまいます。全く知らない、となれば社会生活を送るにも問題なのではないでしょうか。
本音としては公立高校入試です。ご存じの通り、多くの公立高校は社会の1点と他の科目の1点は同等に扱われます。それをそういった扱いにしてしまうとどうなるのでしょうか。この事実を知っている受験生と知らない受験生で大きな差が生まれてしまいます。ましてや社会は個別指導でも集団授業でも学習塾での受講率が5科目中で一番低い科目です。大きな差となって表れるのは明らかです。また、私立高校入試でも理科社会入試を謳う学校が徐々に出始めています。そういった中で軽視することはいかがなものでしょうか。
学習塾では英語数学を、その気持ちは理解しますが、こういった観点からすれば5教科全てを計画的に進めていくことも重要ではないかと思っています。