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1257 学びの意味

1257 学びの意味

『古文や化学を学ぶ意味なんてない』 先日書店でこんな文言を目にしました。皆さんもよくご存じの知識人としてテレビのコメンテーターなどで活躍している方の発言でした。

立場上、私もその点についてよく聞かれます。これについて本当はじっくり話したいと思いつつもその時間が取れていないのが実情です。でも私はその必要性を感じています。

 

コロナ禍が明けて暫く経ちます。この時期は皆さんも窮屈な思いをしたと思います。そして『一刻も早い新薬の開発を!』と願ったはずです。しかし日本は諸外国の後塵を拝しました。その理由は教育にあったのです。

新薬の開発には膨大な基礎研究が必要です。その組み合わせから新薬が出来ます。しかし昨今の日本は基礎研究を蔑ろにしていました。研究開発費も大幅に削減されています。

そんな中で新薬開発を求めるのは酷なこと。案の定、諸外国から乗り遅れた開発となってしまったのです。これは皆さんもつぶさに体験したことです。

 

同様に現在のコメ不足、別名『令和のコメ騒動』も積年の農業行政の失策がコメ不作によって露呈したものです。これ、小手先の策で乗り切ろうとすれば将来必ず痛い目に遭います。

米騒動と同様に表れた難局に『トランプ関税』があります。この回避策として『コメ市場の開放』が候補になっているとか。安いコメが日本に流入することにより日本の米作は壊滅的な打撃を受けます。

それを機に離農する農家さんも増えると予想され、一層のコメ不足食料自給率の低下が予想されます。これって国家の根源をなす問題ではないでしょうか。

 

二つの問題、いずれも一定程度の学習で理解できる話です。しかしそれが顧みることなく遂行されているのが現在の日本です。

基礎科学の充実については近年のノーベル賞受賞者の先生方が警鐘を鳴らしています。しかし一向に改善される気配はありません。

農業政策・食料自給率(これは農業経済学などに属します)も基礎学域に属します。これらを見落とせば将来的に祖国が貧しい国になってしまう・子孫に貧しさを強いることになるのです。

 

いずれも中学生までの学習で習得し得るものです。それが機能していない状態なのに『勉強に意味なんか…』と論じても空論・机上論です。少なくとも高校までしっかり学べばこの論理を理解できない筈がありません。

勉強は受験のためだけではありません(これを学習塾が言うのは良くないのですが…)。これから生き抜くために、そして自分の意思決定に必要なことです。そんな目的意識を持って学習に取り組むことも時に必要ではないでしょうか。

 

かく言う私自身も勉強は役立つかを考えた部類の人間です。だからこそなぜ必要かが少しずつ理解できてきました。そんな論議が出来るようになればと思っています。

 

来たれ 新入会生!!