西暦の末尾が『0』『5』の年は中学生で、その前後で小学生と高校生で教科書改訂が行われます。この作業を挟む年度(現在の中2・中1生)は色々なことで少し厄介な対応が求められます。
教科書改訂の移行措置はまたの機会に述べたいと思います。今回は改訂された教科書の内容について触れていきたいと思います。いやぁ。。。驚きました。
本来、教科書とは『覚えるべき・考えるべき事項が書いてある本』でした。しかし今回の教科書改訂では『どのように勉強するかのHow to本』と化していました。知識の源泉、ではなくなったのです。
なぜそんな内容に…? これは誰もが持つ疑問だと思います。私も思いました。今回参加した説明会では『授業の質を均一化することを狙いとして』という説明がありましたが。。。
ここにも教員の力不足が関与してくるのですね。もっとも、教員の力不足は教員個人の問題ではないと思います。自己研鑽や授業準備をする余裕さえ与えられない現状こそが問題だと思います。
確かに学校を噛ませると私企業だけで物事を運営するよりはるかに多い手数がかかります。率直に言って面倒です。余計な根回し・同じような申請書類などなどなど…倍の手間がかかると言っても。。。
そんな中で教員が自己研鑽をして授業準備を出来るかと問われれば必然的に否と答えるでしょう。だから授業の負担を減らして…となっているのが今回の教科書改訂のように思えてならないのです。
生徒さん側から見ても今回の改定に問題点はあるようです。まず挙げられるのは『解らなかったらアプリ動画を見てください』と先生に対応される危険性があることです。
『いや、それでも解らないのです』『だから質問しているのです』これが生徒さんの気持ちです。実は当教室でも動画解説を用いていますが、解らなくて動画を再視聴する生徒さんは圧倒的少数派です。
動画を見て解らなければ授業担当講師に質問するのはほぼルーティンです。しかし改訂教科書を見るとそのような流れにはしたくないようです。まぁ、負担を減らすためにはそうすべきなのですが。。。
主要5科目の勉強会だったのですが、塾としてどのようにサポートすべきかが明確になりました。その上で今回の改定で発生する問題点へ適切な対応とは何かを考えさせられました。
何よりの問題は今回の教科書改訂と入試問題の目指している方向性が乖離していることです。従前教科書内容の学習だけでは入試問題が解けないことが問題視されていましたがそれが顕著になったのです。
以前生徒さん(卒業生)から聞いた学校の先生との会話が今でも頭の隅に残っています。『先生は入試のために授業をやっているのではない』『中学校は高校入試のために勉強を教えているのではない』
確かに正論です。100%受験のため、となると行き過ぎです。しかし進路指導も中学校の大きな役割のはず。そう考えれば受験指導がほぼ出来ていない現在の中学校運営は正しいのか疑問です。
そしてその根源にある教科書や指導要領はどの方向を目指しているのか不安になります。勉強会が終わって三々五々解散した折、知人の発した一言は大袈裟ですが適格だと思います。
『国家百年の計は教育にありというけど、これじゃ日本経済は絶対に浮上しないよね!』