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1088 表現力

1088 表現力

良く保護者様から『うちの子は表現力がないから…』と言うご相談を受けることがあります。また、生徒さん自身から『自分の考えを文章にするのが苦手で…』と言う声もよく耳にします。

一方で学校教育では表現力に特化した授業』に注力する方針が打ち出されています。これは指導要領が改定されるごとに強化されているようにも感じます。

指導する側(学校の先生)はそれを強化している、受け手側(生徒さん)はその力不足を強く感じている。。。これって矛盾ですよね!? そしてそのベクトルが同じ方向を向く気配もありません。

 

実際に生徒さんの表現指導に当たっていると強く感じることが間々あるのですが。。。『型にはめた表現』があまりに多すぎるように感じます。表現とはもっと自由であるべきものだと思うのですが。。。

中学校の定期試験作文を必ず課す学校(こてはし台中学校の国語が代表的です)は典型例です。これ、塾での指導は安易にできないからです。なぜなら『高校入試と矛盾することがある』からです。

詳細は割愛しますが、入試の作文学校によって基準が異なります。志望する学校によって対策が異なります。それを一律に対策することは出来ないのです。

 

しかし、斯様に定型化された作文を以って表現力とするなら生徒さんは表現することに対して忌諱感を抱くことは無理からぬことです。その価値観を打ち破るほどの表現力を持たせたいと思います。

それが出来ない理由は案外シンプルです。生徒さんの中蓄えているものが圧倒的に足りないからです。語彙・言い回し・例えに使うための比喩表現などが顕著だと感じます。

そのためには一にも二にも読書です。少し背伸びした位の内容が良いのではないでしょうか。読書は自主的に習慣化されればさほど苦にはならないものです。押し付けられたものではちょっと厳しいかも。。。

 

一方で圧倒的な害悪(と言ってはいけないのですが)はテレビの表現です。ちょっと景色の良い眺め『絶景!』と、ちょっといい品物『絶品!』と評するなど、表現の軽さ安易さが拭えません。

『いや、そこよりいい景色などいくらでもありますよ!』『そこよりいい景色をどう評するのですか?』となると反論できないことが多いように感じます。

ことあるごとに生徒さんに伝えているのですが、非常に強い表現を安易に使ってしまうと微妙なニュアンスを表現できなくなり、結果的に『表現力不足』と言う烙印を押されてしまうのです。

 

表現力こそ日々の積み重ねで磨き上げるものだと思います。それを対処的な手段で済ませてしまえば一律な表現・画一化された言い回ししか習得できません。

現在の教育で重視されていることに『個性』があります。しかし現行の『表現力特化の授業』には個性は存在しないのでは。。。

その問題点の根底には『表現力を身につけるにはあまりに安易な方法を選択しているからだと考えます。何度も述べますが表現力を養うには語彙・言い回し・例示など様々な要素が求められます。そこに安易な方法はないのです。