授業中の声掛け、これ結構大事なことです。声掛け一つでピリッとした気持ちになったりリラックスして取り組めたり…のように雰囲気がガラッと変わります。それが授業の成果としても現れます。
頻繁に使う言葉に『じっくり解きなさい』『じっくり読みなさい』という声掛けがあるようです。これは生徒さん談(!)です。でも、この声掛けは結構難しいと思っています。
同じ成果が挙げられるなら高い時間意識で早く解く方が効果的。その言葉、時間をかけることだけ強調して捉えるとダラダラゆっくり解くことになってしまいます。学習効果は半減してしまいます。
それでは表題について考えていきましょう。ここでは言葉の定義付けをまず行います。『ゆっくり』とはのんびりだらだらとやること、『じっくり』とは全方位に目を配って基本に忠実にやること、とします。
傍から見ているといずれも演習速度は上がりません。しかしやっていることは天と地ほどの違いがあります。この差をきちんと意識して取り組まなくてはならないと思います。
例えば小5の文章題、速さの問題が出てきたら『み・は・じ』、割合なら『も・く・わ』の図を書いて考えること。中学の英文なら否定文・疑問文の英作文でもまず肯定文から考える、などが大切です。
いずれも手数が多くなるため時間はかかります。しかし基本に忠実な演習となるため、以降の伸びは確実なものになります。それが学習を積み上げる本質になるのではないでしょうか。
上記の『じっくり』に対して『ゆっくり』は。。。
上記の基礎的な解法手順をきちんと習得せずに最初から頭の中でやろうとすれば必然的にそうなります。これでは演習効果は上がりません。いきなり50㎝、80㎝の階段を上がろうとしていることと同じです。
この階段を上がり切れないと『分からない』『できない』『つまずいた』となり、最悪そのままとなることもあります。そうでなくてもそれが原因で苦手単元・苦手箇所となる可能性があります。
学習方法の一つに『スモールステップ』という考え方があります。易しく解きやすい問題を基本通りに解くことから始めて徐々に手順を簡略化して難度を上げていく、という手法です。
この方法を強調しすぎると生徒さんから『出来るようになった手ごたえがない!』との抗議が来ますのでそのコントロールは大人がすべきなのではと…蛇足ながら付け加えておきます。
基本的な学習でも正しい手順でやろうとすると結構時間がかかります。しかしそれは決して『ゆっくり』やっているわけではないのです。正しい手順で解き進めることがかえって近道になる、それが『じっくり』の正体です。