日本の古い考え方で『一芸を突き詰める』ことが一流の証とされていました。一つのことを突き詰めることはそれだけ大変で価値あることです。それに対して多方面に手を伸ばすことは邪道だと言われていました。
しかし、近年ではMLBの大谷選手の活躍に刺激されたわけではないのでしょうが、多方面に対して一生懸命取り組むことがトレンドのようになっています。大谷選手本人はそんな気持ちさらさらないようですが。。。
またこの話になってしまって恐縮ですが私の愛読書に宮本武蔵の『五輪書』があります。宮本武蔵は二天一流(いわゆる二刀流です)で文字通り日本一の剣豪として名を馳せました。
そして今でも世界中で愛読されている『五輪書』、これは本人が書いたのではないと言われていますが一流の書物だと思います。さらには隠居生活の慰みと言われていますが水墨画もすさまじい気迫を放つものが残されています。
宮本武蔵は剣術でも二刀流で超一流、そのほかにも文才・画才があった元祖マルチプレイヤーではなかったのでしょうか。いうなれば二刀流・三刀流を自在に操った人ではないでしょうか。
この源はどこにあるのか、『五輪書』を探したことがあります。すると文中のいたるところに『真摯』『真剣』などの言葉がちりばめられていることに気付きます。
つまり宮本武蔵は何事に対しても尋常ではない真摯さで向き合っていたのではないかと推察できます。それならかけらほどの才能であっても超一流に駆け上れるのではないかと思いました。
これは私自身の恥ずかしい話ですが、中高生の頃はクラブ活動を一生懸命やってさえいれば勉強は二の次三の次で良い、と思っていました。その考えに対して普段は穏やかな師父は烈火のごとく怒りました。
『勉強すら一生懸命出来ない者に剣道を一生懸命出来る筈がない!』『その考えが改まらないうちは顔を見せるな!』と。。。
師父は私の言葉の裏側にあったものまで見抜いたのだと思います。剣道は楽しくて好きだけどキツイ稽古はほどほどにやろうと。。。私自身にはそのような考えはなかったのですが、心の奥底ではそう考えていても不思議ではありません。
日を改めてお詫びに伺ったときは優しく穏やかな師父に戻っていました。そして私は自分の至らなさに気付いたこと、そしてそれを改めようと思ったことを師父に伝えました。
その後の私は見違えるほど…にはなれなかったのですが、折に付けその話を師父から受け、『一生懸命さ』や『何事にも真剣に向き合う大切さ』を学びました。
もし、今の君が勉強や普段の生活から目を背けてしまっているなら、ぜひ『一生懸命』『真剣に向き合う』という言葉を思い出してください。斜に構えていても事態は一向に変わらないものです。