昔勤務していた学習塾での話です。その塾は定期的に教材費をお預かりしていたにもかかわらず、コピー教材メインで授業を行なっていました。学生講師は授業前にコピー機に並んで・・・が常態化していました。
これを生徒さんや保護者様から見れば『教材費を払っているのに???』となります。また、教室運営側から見ると教材を買うよりコピーで済ませる方がコストがかかるのです。いわば双方が損をします。
それを周りの先輩方に質したところ、何とも的を射ない返事でした。要は見せかけの売り上げ数字づくりをするためだそうです。こんなことをやっていては伸ばせる生徒さんも伸びません。
学習塾に限らず、学校や家庭での学習は出来れば冊子になっているものを活用した方が効果的です。散逸することもないので学習内容の整理が容易になります。また順を追って学習に取り組める点も長所です。
学習内容が一緒でも系統立てた学習が出来ているかどうかで定着の度合いや深さが変わってきます。順序立てて行なうことで効率的になる点も見逃せないポイントです。
しかしLS WILLの授業でもコピー教材を使うことがあります。それらをいくつか挙げていきましょう。
第一は弱点補強です。それまで10段階で8程度の難度を持ったテキストを使っていたとしましょう。やや苦手な単元が生じた場合は難易度を5~6程度に下げたテキストで慣らします。
慣熟を確認した上で元のテキストに戻します。一部分だけ難易度を下げるような場合はコピー対応が妥当だと思います。慣熟を確認したらテキストを戻すことが前提だからです。
第二は繰り返しやるべきもの。英語の不規則変化動詞チェックや小学校低学年のなぞり書きする漢字などは一回使ったら終わりでは困ります。そういった演習時にはコピー演習が有効だと思います。
第三は ~これは困っていることですが・・・~ 絶版になった教材です。非常に良く出来ている教材でも絶版になってしまうことが多々あります。特にピンポイントに弱点補強を出来る教材は回転が早いようで絶版になることが良くあります。
昔の教材は・・・などと口にすると懐古主義となってしまいます。しかし解説用の例題や演習問題は改訂を重ねると高度化・難化する傾向があります。そうなってしまうと弱点補強の役割を果たさなくなってしまいます。
そんな理由で昔の教材を大切に保管し、必要なときにコピーして生徒さんに使ってもらいます。これは本教材の補強として用いるため、致し方ないところです。
こんな話を教材会社の方に話すと、そんな昔の教材を!? と驚かれることが良くあります。しかし、問題の善し悪しを見極める目も学習塾運営者にとって大切なことだと思うのです。