先週末、遠方の友だちから電話がありました。彼は高校3年生の受験生を持つお父さんです。私が学生時代に同じクラブに所属していました。息子くんにも同様の競技をさせていました。県代表で国体にも出場したそうです。
国体が終わってからは受験生として勉強を始めたそうです。まだ試合が残っている時点では学校で練習し、部活が終わってからは地域の道場で稽古に励んでいたそうです。確かに勉強する余裕はなさそうです。
これほど打ち込んだ競技があるならその競技で大学に進めば? と私は勧めました。しかしその受験生くん、どうしても大学でやりたいことがあり、その大学からセレクションのお誘いはなかったそうです。
やりたいことを突き詰めた結果なのでスタートが遅れたことを後悔している様子もなさそう、とのことでした。ただ、一点だけ後悔していることは予備校には入れなかったことだそうです。
確かに予備校では受験年度の春先や夏期講習での募集は行ないますが、これほど差し迫った時期になると入れなくなります。これは集団授業でやっているので致し方ないことです。
また、大学受験まで扱っている地場の塾でも評判の良いところはほぼ全滅で断られたそうです。これも予備校と同様の理由だそうです。まぁ、解らないわけではありませんが。。。
それなら個別で大学進学指導をしてくれる塾は・・・? と尋ねたところ、意外な返事がありました。『イヤ・・・おまえが個別指導塾をやっているのに悪いけど個別指導ってレベルの低い子対象だろ!?』とのこと。いやいや、悪くはありません。よく誤解されていることです。
確かに中堅校に入れるのが精一杯という個別指導塾もあります。実はLS WILLの前身教室はそのような塾でした。それを上位校・トップ校を狙う子から基礎の充実を願う子までが等しく通える塾にしたかった、これは私が掲げた当初の教室改革でした。
その上で当該高校3年生くんのような生徒さんも迎え入れられるのは個別指導ならではです。そんな塾はあまり多くはありませんが各地域に必ず存在しています。手間こそかかりますが鋭意探してほしいと伝えました。
私は例え受験前日であっても当教室に通うことにより何らかのプラスになるならいくら短い期間でも教室で勉強したいという意志を遮りたくありません。これまでも数こそ多くはないものの1月になってから中学受験生を迎えたこと、高校受験生を迎えたことがあります。
これらの生徒さんには共通の特徴があります。それは入塾と同時にトップスピードで取り組めることです。そうですよね、残された時間がないのならその瞬間から必死になってやらなくてはなりません。そしてその意味が分かっているのです。
その姿は既存の生徒さんにも大いなる刺激を与えます。それまでは塾に通うことが当たり前で『受験生』という言葉も上滑り気味だったのかも。しかしそんな生徒さん達も必死に取り組む新たな仲間は新鮮に映るのです。
理想を言えばある程度の時間を掛けてじっくりと仕上げる受験の方が入学後の成績も安定します。しかしそんな建前は合格という言葉の前にはかすんでしまいます。秋深まるこの時期に受験生への建前は不要だと思うのです。