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903 定期試験考 ~入試問題との乖離~

903 定期試験考 ~入試問題との乖離~

10月の終わりから11月は千葉市立中学校の後期中間試験対策で中学生が盛り上がります。『試験前って嫌な期間だけどなぜか気持ちが盛り上がるよね!?』という心強い声も聞かれます。教室環境も大切な要素だと思います。

しかしその中で苦戦するのはだいたい中学3年生です。彼らは受験を目の前に控え、勉強に余念がないはずなのになぜ・・・と思います。当人達が一番戸惑っているのではないでしょうか。

その原因となるのが問題レベルです。普段は受験に向けて難易度高めのテキストを使います。それが試験前になると定期試験対策に向けて問題のレベルを数段落とすからです。

問題のレベルが下がるなら簡単では・・・と思いがちですが、一概にそうは言えません。レベルが下がる分、広い範囲をまんべんなくやらねばならず、また、一つとして落とせない状況になるのです。

生徒さんにとっては基本の追求ほど嫌なものはないのでは。。。当教室でも『単元別漢字』や『不規則動詞』というと皆の顔が一様に曇ります。でもここで点数を落とすわけには行かないのです。

 

昨今、公立高校入試でも入試問題は大きく様変わりしました。短答スタイルの問題が減り、考えて論理的に組み上げた解答を求める問題が一気に増えました。正直なところ、学校定期試験対策だけをやっていた受験生には手も足も出ない問題です。

学校定期試験対策だけでは手も足も出ない、即ち学校授業が入試に対して機能していないことを証明しているのです。これって少し問題ですよね!?

高校入試の問題大学入試改革を受けて変革されているのはご存じの通りです。大学入試そのものが知識詰め込み型学習から発信型学習にシフトしており、ただ単に言葉を覚えれば合格、とすることから脱却しようとしています。

私は職務柄年に数度、高校の授業参観に参加しています。現在の高校では我々の時代とは全く別次元の授業が行なわれていることはご存じでしょうか。これ、決して特殊な学校だけではないのです。

 

しかし、多くの中学校でそれが出来ないのは多くの障害があるからです。決して学校の先生が手を抜いているわけではないのです。また、公立中学校の特性として『上は偏差値70越えから下は偏差値30未満』の生徒さんを同一の授業で見なければならない。これは非常に難しいことです。

中学校もそろそろ習熟度別クラスの導入(これには法律的な問題も絡んでなかなか大変ですが。。。)や放課後補習(学外のシステムを活用して教職員への負担は減らす工夫も必要です)にも目を向ける時期なのではないでしょうか。

 

中学3年生の後期中間試験対策でまた基本に戻して指導することは本当に心苦しいことです。出来ることなら発展問題や融合問題などにじっくり取り組ませたいところ。しかしそれでは学校定期試験対策にならないジレンマが毎年襲いかかってきます。