前章の『ケアレスミス』を読んだのか、早速生徒さんから質問がありました。『どうしてもなくならないんだよぉ。。。』 確かに切実な問題です。実は私もキミをイメージしていました。
ここで一番多いのが『問題文の読み違い』です。記号で答えるところを語句で答えてしまう、当てはまらないものを答えるのに当てはまるものを答えてしまう、文中の語句で答えるものを造語してしまうなどなど。。。
これは問題文をいかに正確に読み込むかにかかってきます。その際大切なことは『一点に集中するのではなく、全体を見る』ことです。これは宮本武蔵の説く『遠山(えんざん)の目付(めつけ)』です。
遠い山を眺めるときに一点だけを見ることはないでしょう。全体を見て『素晴らしい風景だね』と思うはずです。それと同様に問題文も一点を見るのではなく、全体に隈無く意識を張り巡らせることが大切です。
これは野球で言うところの『好球必打』です。球種やコースにヤマを張るのではなく、来た球に逆らわずに打ち返すことです。ヤマを張って外れれば。。。空振りですよね!? それをしないように全方位に神経を張り巡らせるのです。
これは問題文ばかりではなく、国語や英語なら本文も、算数・数学なら図形やグラフ・表にも目が届くと良いのですが。。。
もちろん、これを習得するには訓練が必要です。知っていれば出来るものではありません。だからこそ深遠な技術だと思います。
また、宮本武蔵つながりでの脱線ですが。。。彼は『五輪書』で『観(かん)の目強く・見(けん)の目弱く』とも説いています。修行を重ねる中で見るべきところが解ってくるとこうなるのですが、小中学生はまだ先の課題ですね。
また、ケアレスミスの誘因として『焦り』があります。これも宮本武蔵が。。。何だか全て武蔵基準ですが。。。『止心(ししん)』という言葉を使っています。これは一か所に拘泥(こうでい:必要以上に意識すること)してしまう状態です。
こういった状態に陥らぬよう、いつもフラットな気持ち・平常心で取り組むよう説いています。つまりこれもある程度の訓練が必要なのではないかと思います。
目付については武蔵ばかりではなく世阿弥の『風姿花伝』にもその記述があります。中学生がチャレンジして簡単に読めるものではありませんが、現代語訳を併記した本も出版されていますので興味のある方は一読をお勧めします。