受験生や学習塾にとって模擬試験・会場模試は切っても切れない関係です。普段の学習は学校内順位や塾での順位という小さな物差しで測っていますが、模試は全県順位が明確に分かるメリットがあります。
生徒さんに模試結果を返却すると皆一様に『偏差値』『合否判定』などに注目し、他の箇所は見ない傾向が非常に強いように思います。でもそれって勿体ないことなのです。
確かに偏差値や全体順位などは非常に気になるところ。これがモチベーションになることもあります。しかし、模試結果にはそれ以外のこともたくさん書いてあります。それこそ宝の山です。それを見逃すのは。。。
私は進路指導に当たって秋期の偏差値はあまり当てにしていません。その理由は幾つかありますが、一番に挙げられることは『模試の結果は大きく変動して当たり前』だからです。
例えば同じ月に2回の模試を受けて偏差値が10違った、そんなケースは決して珍しくありません。そんな不安定なものを信用しろという方に無理があると思うのです。
また、これも受験業界ではよく言われることですが『模試結果は悪い方が今後の材料になる』という妄言。これは様々な生徒さんを一括りにして考えたのではないでしょうか。
『模試結果が悪い方が弱点が明確になるから。。。』とのご高説ですが、これは結果が良かったときも同様です。きちんと見れば分かります。更にそれを複数回受験すればより明確になります。
確かに大人数を抱えた塾や学校では難しいかも知れません。しかしそこに遺漏(いろう;漏れのこと)が生まれてしまいます。それでは納得した進路選びは難しいかも。。。!?
最近の模試は返却答案に答案用紙の写しが印刷されています。それらを良く確認して『取らなくてはならない問題が取れているか』『つまらない失点はないか』を良く確認しなければなりません。
それらの作業をしないと『たまたま取れてしまった』箇所が加算されていることにも気づけません。それは次回、若しくは本番で取れない可能性もあるのです。それは致命傷ですよね!?
でも、模試の返却は何度やっても上手に出来ないものです。結果が良ければ浮かれないように諫め、悪ければ落ち込ませないような助言をすべきです。それが今後に大きく影響することは分かりきっているからです。
だからこそその結果を糧にすべく、良ければそれを保持しよう、悪ければ少しでも改善しようと思わせるような進路指導を心掛けたいと思っています。