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30 国語は感性? それとも…

30 国語は感性? それとも…

学校の授業などでよく『行間を読みなさい』という先生からのご指摘を受けた記憶がある方はいらっしゃいますか? 入試に向けた勉強において、国語学習の過ちはここにあるのです。

生徒さんから国語の読解問題で『何でこの答間違いなの?』と聞かれることがあります。算数数学なら『計算が違っているよ』などの明確な答えを端的に表せるのに対して国語は根本から説明し直さなければならないので説明を受ける生徒さんも大変そうですが…

国語の読解では『行間を読む』『感性で感じる』などのことは一切必要ありません。そんなことをしてしまえば正解が無限に出てきてしまいます。これは入試事務の処理に無限の時間が必要となってしまいます。入試国語の読解問題は100%テクニックで解くと言っても過言ではないでしょう。

国語の読解テクニックは大別して『指示語・接続語』『論点と趣旨』『段落と要旨』『場面と情景』『心情と性格』『主題』に分けられます。各項目は別の呼び名を使う場合もありますがおおよそのところは変わらないようです。

その上で出題が『どのジャンルの解答技術を要しているか』を判断し、その解答技術で解き進めるのです。例として『指示語』の解法で解き進める場合、その指示語が指す言葉の探し方は、①同じ文の中、②直前の文、③同じ段落、④直前の段落、他に別格解答として『主題』から探す、この5点です。この手順を無視して指示語が示す言葉を探すことは問題文全体から探し出さねばならず、正答する可能性は著しく低下すると言っても過言ではありません。

蛇足ながら、この問題の見直し方法は数学の代入のように問題にある指示語の箇所に解答を入れ、文意がきちんと取れれば正解です。

 

ここで注意を2点ほど。一つは学校の定期試験です。これはこの章最初にお話しした『行間を読む』ことを要求なさる先生には使ってはいけないテクニックです。学校定期テストではあくまで授業ベースで解答することが得点に繋がります。

二点目は入試本番において、入試の読解問題が自分の読んだことのある本の一節、ということがあります。一瞬『ラッキー!』と思うのは人情ですが、意外に落とし穴が多く得点に結びつかないものです。その理由は、出題者は受験者がこの本を読んだことはないことを前提に問題を作っています。

しかしこの本を読んだことのある受験生にはいらぬ情報(例えば、この主人公は○○な経歴で、問題文以降はこんな人生を送った、等)があるため、先入観を持って演習してしまいます。その先入観が正答に至る道の障壁となるのです。読んだことのある文章であっても基本に忠実な演習が求められるのです。

 

歌詞に高い評価のある松任谷由実さん(私的にはメロディラインや特徴的な和音進行に魅力を感じますが…)は自身の歌詞が入試に使われたことがあったそうです。自分の書いた歌詞が入試になるなんてと関心を持ち、過去問が出版されるとご自身で早々に解いたそうですが、結果は悲惨だったそうです。

『自分の書いた文章でこの本質は私が一番知っている。それなのにこの結果は…』とのことで以降は入試問題で歌詞を使わせて欲しいという申し出にも首を縦に振ることはないそうです。このことから、入試においては『文章の言いたいことや本質を理解している人より、入試テクニックに長けた人が得点できる』ことが解ります。