これまで中学生の試験対策に傾斜して小欄を進めていましたが、『小学生は・・・』というお声もありましたので今回は小学生の算数についてお話ししたいと思います。
中学受験をしない小学生が塾を考えるケースで多いのは『分からないところが出来た』『学校授業について行けない』ときです。大人から見れば『なぜ?』と思うようなところで引っ掛かってしまうことも珍しくありません。
昔お預かりした印象深い生徒さんを例にして話を進めていきましょう。その生徒さん、分数のたし算ひき算でこんがらがってしまいました。単元としてはありがちです。
しかし、お預かりした際に最初から手順通りに計算をしていくと・・・難なく解けるのです。しかし5~10問の問題を解かせると途端に手順がグチャグチャ。
この5~10問というのはたし算ひき算、真分数・仮分数・帯分数、通分の有り無しなどが混ざった出題でした。この様子を見て私はピンときました。
たし算ならたし算、真分数なら真分数、通分を要するものならそれだけをまとめて出したところ、手順を確認しつつ、全問解けるのです。
では、私の取った対処方法について述べていきましょう。
まず、全ての計算(上記にあるような様々なパターン)を同一の手順で解く(考える)こと。その上でやらないことを意識することを指導しました。
『やらないことを意識する』って・・・? これは分母が等しい計算でも『1を掛けて通分する』、真分数でも『ゼロを分子に上げて仮分数化(実際には真分数のままですが・・・)する』などです。
もちろんこれらはずっと続けるわけではなく、一定の習熟が見られたら解除しました。実際には授業1~2回分でした。しかしこれを意識することで正しい手順が身に付きました。
もう一つ、厄介なことがありました。それは帯分数のたし算ひき算で『学校の先生とお母さんは違うことを言うんだよぉ!』とのこと。学校の先生は全て仮分数にする、家では必要な分だけ仮分数にすると言われたそうです。
これは本当に大変だったと思います。今でも『センセー、学校の先生とやり方が違うよ!』と指摘されることはしばしばあります。そんな時は教え方を変えるのではなく、本質を理解して貰います。
そこまで理解して貰えれば『学校の先生とお母さんは同じことを言っている』と納得してくれます。そこは端折らずに向き合わなくてはなりません。
このようなケース、他塾からの転塾生にも良く見られます。どうしても集団塾では学校でどう教えているかを確認できないので致し方ありません。これは個別指導塾の強みです。
文字にするとなかなか伝わりにくいのですが、これは分かりやすく指導するコツとも言えます。額面通り・台本通り教えなくてはならない学校や集団塾より少しでも解りやすい授業をと念じて今日も生徒さんの『何で?』に向き合っています。