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25 読書は必要? (1)

25 読書は必要? (1)

この点については結論からお話ししましょう。受験直前になって慌てて読書をすることが受験に影響をもたらすかと問われればその効果はかなり疑問です。早く正確に読み取る読書力をつけるにはある程度まとまった時間が必要で、読書を時間通りに切り上げることが難しいからです。

しかし、読書と学習効果の関係性については私も賛成の立場を取っています。読書は受験のためだけではなく、様々なものを得ることが出来る手段です。よく言われる言葉に『好きな本と出会えることは親友を見つけることぐらいの価値がある』『本を読むことで他人の人生を疑似体験することが出来る』他にも読書に対する名言はたくさんあります。

私も読書は好きです。今でも年間80~100冊ほどは読んでいると思います。私が読書好きになったのは中学1年生の時にケガで入院したときでした。ベッドから離れることも出来ず、やることもない、仕方なくお見舞いの本を読み始めて…がきっかけでした。それから特定の作家に興味を持ち、新田次郎《山岳小説を主に書いた直木賞作家》は漁り読みと言って良いほど読んでいました。

高校生になってからは短歌に興味を持ち、現代短歌や万葉集に関する書物を読むことが好きでした。そこで高校の先生に紹介して貰った『万葉秀歌』(明治~昭和を代表する歌人である斎藤茂吉の万葉集論評です。名著です。お勧めします!)などを読み耽る日々でした。

大学入学後は学科の勉強で読むべき本(教科書や資料など)が膨大な量になるゼミナールに所属したため、あまり読書量は増やせませんでした。しかし他学部(私は経済学部だったのですが)の授業で在原業平の『伊勢物語』に関する考察、宮本武蔵の『五輪書』の多面的解釈などは印象深いものでした。また、その当時アメリカ音楽にのめり込み、アメリカの古い(といっても1920年代頃ですが)文化についての関心から世界地理の本を読むことが多かったことを記憶しています。

私の読書遍歴についてざっくりとお話ししましたが、読書でこれを得たと端的に言えるものはありません。しかしそれらが私の視野を広くし、色々なことに対しての関心を引き出してくれたことは事実だと思います。

少し長くなってしまったので次回コラムで私がお勧めしている文章の読み方についてお話しいたします。