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18 部活動と勉強

18 部活動と勉強

中学生高校生になると部活動に打ち込む生徒さんが多くなります。小学生でも野球やサッカー、最近は空手を一生懸命やる生徒さんが見られます。個人的には部活動や習い事を一生懸命やることは大賛成です。LS WILLの卒業生の中にも甲子園に行った先輩や全国大会に出場した卒業生がちらほらと出るようになりました。

ただし、部活動をやるには知っておかなければならないことがあります。極端に言えば覚悟しておくべきことがあります。私自身が小学校に入る前から始めた習いごとを大学卒業後まで続けた経験において伝えておくべきことだと思います。

受験と部活動の関連で最初に取り上げられるのは『セレクション入試』です。いわゆる『部活動推薦』ですね。部活動などで一定以上の成績を残した場合、その部活動を強くしたい上級学校が有望な生徒をスカウトします。学科入試を受ける代わりに部活動成績などで入学の可否を判断するのです。

ここには一つ大きな問題があります。部活動の時間以外は他の生徒(受験勉強の上で入試を受け、相応に学力が備わっている生徒)と机を並べて勉強しなければならないことです。高校や大学は一定以上の成績(つまり定期テストでの得点)を残せなければ学園生活を送ることが許されません。他方では『セレクションで入った以上はそれなりの結果を』とプレッシャーを掛けられます。従って勉強にふんだんな時間を割くことは難しくなります。これにきちんと向き合える覚悟がある人のみセレクションで入学することが許されるのではないでしょうか。また、セレクションで入学が決まったら入学前にそれまで学習した範囲を見直すことは最低限しなければならないことなのです。

運動部で勉強面以外の心配事はケガです。これは日々を高い意識で送っていたとしても起こる可能性が消えるわけではありません。「僕から、私から、部活動を引いたら何も残らない」という話を生徒さんから聞く機会も少なくありませんが、そんなキミがけがをしてしまったらと思うとゾッとします。そういう私もけがで競技を断念せざるを得なくなった経験があるからです。ケガは競技のすぐ隣に潜んでいます。むしろケガをしない方がおかしいという指導者もいるぐらいです。だからこそケガをしない用心と併せて、してしまったときの用心の両方をする必要があると思うのです。

もちろん部活動を否定するものではありません。最初に述べたとおり、個人的には部活動に熱心になることは大賛成です。一つのことに打ち込む中で素晴らしい仲間や導いてくれる師との出会いなど何物にも代えられない財産を得ることが出来るからです。何より、目標に向かって必死に取り組むことは素晴らしいことだと思います。その姿勢を学べる数少ない機会なのかもしれません。そしてキミが大好きなことを見つけられるのは素晴らしいことだと思うのです。だからこそ大好きな部活動に対して「部活やっていたから勉強できなかった」などという言い訳の対象にして欲しくないのです。

一時期は「文武両道」という言葉で表していましたが、最近生徒さんと話した中で「勉強と部活の二刀流」という言葉を教えて貰いました。格好良い言葉だと思いませんか? 宮本武蔵(江戸時代初期の武芸者、二刀流の大家)の著書『五輪書』の中で二刀流の極意をいくつか上げていますが、その中の一つに『左右の刀、等しく使うべし』という言葉があります。右利きだと右手に持った刀ばかり使いがちですが、左手に持った刀も右手と同様に使えるように苦手な方は重点的に稽古するよう示しています。現代流に言い換えればバランスを大切にしなさいと言うことだと思います。部活動と勉強のバランスも…大切ですよね。