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742 辞書の引き方・引くタイミング

742 辞書の引き方・引くタイミング

先日、入会から日の浅い中学生の生徒さんから衝撃的な話を聞きました。今まで英語の勉強をしてきて辞書を引いたことがない、と・・・

それでは解らない単語はどうするのかを尋ねたところ、教科書の後ろに付いている付録ページを見て処置するそうです。ウ~ン・・・

それでも解らないものは・・・スマホで検索するそうです。時代でしょうか。

 

他方で、生徒さんからこんな質問を受けました。『センセー、この間のテストで良い点だったからお父さんが電子辞書を買ってくれたんだけど、塾で使ってもいい?』

教室備品の辞書が紙の辞書だったので少し気を遣ってくれたのかも知れません。また、中学校には持って行けないそうなので塾ではどうかを確認したかったとも言っていました。

 

結論から述べますと教室では電子辞書はOK、スマホで検索はNGとしています。実は私自身もPC・スマホで単語の意味を確認することがありますが、これ、意外に難しいのです。

端的に理由を述べますとPC・スマホでの単語検索その単語の意味だけが解れば・・・という場合にだけは重宝します。しかし、さらに文法的な意味を踏まえて・・・となるとページを全て読み込んでも解らずに結局再検索となってしまうことも多いからです。

最近の電子辞書は文法事項も非常に充実しており、紙の辞書に見劣りしません。引きやすさから考えれば勉強効率を上げる効果も期待できます。

 

少し前置きが長くなりましたが、英語の辞書、国語辞典、古語辞典に限らず広い範囲で話を進めましょう。

辞書を引く際は手っ取り早くその言葉の意味だけ解れば良いと思ってしまうことが多いと思います。しかし、少しでも余裕があればその項目全てに目を通すと良いのではないでしょうか。

言葉の意味だけではなく、品詞活用冠詞の付き方や例文などに目を通せばそれだけその言葉が理解できると思います。きっちり読み込まずにさらっと流し読みだけでも力になるように思います。

 

次に辞書を引くタイミング。国語の勉強・英語の勉強に限って解らない言葉が出てきたらその都度辞書を引く、これはナンセンスです。

それではあなたに質問です。あなたは新聞を読んでいます。その中で解らない言葉が出てきました。手元に辞書はありません。そんな時どうしますか?

これ、多くの方は同じ答だと思います。『前後からその言葉の意味を類推する』ではありませんか!? そして、この作業は試験などにも大きく役立つのです。

本番で解らない単語が出ても辞書は引けません。そんな時、問題文の前後から言葉の意味を類推することが出来たら強力な武器になるのです。

これは普段から訓練しておかなくては武器として使えません。だからこそ辞書は『答合わせの時に引く』ことが良いのではないでしょうか。

日本語であれば漢字から類推することも可能です。古文であれば情景が把握できれば理解できることもあります。それだけに『古典常識』『文学史』は大切な単元ですね。

英語であれば品詞から判断していくことも可能です。名詞動詞か・形容詞副詞か。まず、形容詞副詞ならどの語を修飾しているかである程度の判断が付きます。

対して名詞か動詞か。名詞なら『もの』『こと』動詞なら『する』仮置きして訳してみると意外にも意味の通る文が出来るものです。

 

この『類推』というテクニックは畑正憲さん(通称ムツゴロウさん)の『ムツゴロウの青春記』にあったものです。

あまり知られていないようですが、畑さんは大分の高校から東京大学理科Ⅱ類(当時はⅢ類、つまり医学部の内容も含まれていた)に進学しました。

秀才だから進学したと見られがちですが、猛勉強の上で合格を勝ち取ったのではないでしょうか。その様子は前述の著作に記されています。

 

大切なことですが・・・

解らない言葉・知らない単語が出てきたときに対処する準備は上記に述べたとおりです。しかし一番好ましいのは出てきた言葉は既にきちんと理解している状態まで持って行くことです。

それには辞書を機能的に使いこなすことも大切です。『解らないから引く』程度の使い方ではなく辞書の持っている能力を最大限吸収しておくことが大切です。

確かにメンドーです。でも辞書を引くことがキミの力を押し上げてくれることを覚えておくと良いのでは・・・?