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723 過去問 ~扱い方を間違えないで!~

723 過去問 ~扱い方を間違えないで!~

どんな試験でも初回実施ではない限り、過去問があります。入試などはその最たるものです。この存在を知らずに試験を受けるのは余りに無謀な挑戦です。しかし、扱いを間違えがちです。その理由は・・・?

見方を変えれば受験生であれば誰だって過去問は気になる存在です。自分にどれだけ解く力があるのか、過年度の合格ラインには届いているのか。気にならない方が不自然です。

しかし、一定の時期になってから取り組まなければ実施の効果は半減です。つまり、受験勉強の学習範囲が完成しないうちにやってもあまり意味はありません。

過去問は問題単体(大問ごと)に解くことは普通の問題集にある問題を解くことと変わらなくなってしまいます。従って『この単元はまだやっていない単元だからあとで・・・』はあまりお勧めできません。

中には特筆すべき良問で例題として課すことはありますが、例外的措置です。50分なら50分でまとめて演習できるような準備が出来てから取り組むべきです。つまり受験勉強の各論が完成するまでは着手できないのです。

その上で時間配分を考えながら決められた時間内にきちんと解き切ることを練習することも過去問演習において大切なことなのではないでしょうか。

 

他方で過去問は早めに用意しなければならないものでもあります。特に上位私立校に見られる傾向ですが学校によって出題傾向が大きく異なります。それに対応する準備を行なうためです。

俗に『出題傾向』と一言でまとめられがちですが、出題形式解答方式などきちんと理解した上で準備をしなければなりません。全部がマークシートの問題で作図や作文のような問題は出されません。要らぬところはこの際切り捨てなくてはなりません。

しかし、問題を解かずに出題傾向を知ることは出来るのでしょうか。ちょっと難しいかも知れませんが、大体の過去問には巻頭にそれが記載されています。問題箇所だけを見る受験生が非常に多いのですが、最初からきちんと整理して読み込むことも大切です。

 

最後に過去問演習でよく聞かれる質問、どれくらい遡れば良いか』というもの。中には7~8年分もやったという話を聞いたこともあります。しかしそれはあまり意味がありません。私立で5年、公立なら3年分で十分なのではないでしょうか。

ただ、千葉県公立高校入試は今暫くの間、負担が大きいものとなっています。それは令和2年入試まで『前期後期入試』となっていた点。1年分で2回分となれば大変です。それを踏まえるから3年分、としたわけではないのですが。。。

 

最後に過去問ネタを一つ。『新設校だと過去問がないよね!?』というご意見があるかと思います。過去問のない新設校を受験する生徒さんにとって説明会参加は必須です。そこで過去問に類するもの(『こんな感じで出題します』のような・・・)が配布される可能性が非常に高いからです。

もう20年近く前の話ですが、説明会で配布した問題の数値を変えただけという入試問題を出した私立中学校がありました。さほど点数の高い問題ではなかったのですがそれを事前に解いていた受験生は心理的に大きなアドバンテージがあると思います。

 

受験関連の出版業界で過去問は非常に大きなマーケットとなっています。それだけ多くの受験生が関心を持っている現れです。しかし扱い方を間違えているケースは決して少なくないのです。

過去問はくれぐれも軽い気持ちでやらぬ事が大切です。本番に近しい緊張感を持って高い意識で演習することこそが過去問演習を行なう意味なのではないでしょうか。

ガンバレ 受験生!