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540 どこまで教えるか ~下限規程の話~

540 どこまで教えるか ~下限規程の話~

夏休み期間中は苦手な分野や苦手になりそうな分野の学習を集中的に行える良い機会です。今年も様々なチャレンジが生まれました。それらは生徒さんそれぞれの宝物になっていくはずです。

そんな中、夏休みに入る前に倍数と公倍数・約数と公約数に手こずっていた生徒さんがいます。小学生の学習方法ではそれぞれの倍数・約数を書き出してその中から公倍数・公約数を見つけ出すものですが、これは本当に面倒で手が掛かります。一つ見落とすと全てが台無しになってしまいます。

これらは中学3年生の(来年度からは教科書改訂で中学1年生の)学習範囲にある素因数分解によって計算で算出することが出来ます。上記の生徒さんは格好良く計算で出せるようになりたい!』との希望があったので上位学年の問題を解き、その原理を習得しました。エラい! スゴい!

これらは旧来の上限規程(これ以上の学習はやってはいけないという規制)』があった時期には出来ない内容でした。特に小学生に対して中学生の学習方法で問題を解くことは御法度でした。しかし現在はこの規程が『下限規程(最低でもこれ以上の学習をやらねばならないという規制)』に変わったために実施が可能となったのです。

この難点、従来は『つるかめ算』(下欄をご参照ください)の解き方を教えられなくて・・・のような声がありました。連立方程式であればすぐに解けるものをつるかめ算独自の解き方をしなくてはならない、それを知らねば手も足も出ない問題がありました。今後はこれらを『連立方程式で』解いても良いものとされるようになっています。

つるかめ算の他にも中学生の解き方で解いた方が簡便に解ける小学生の問題はたくさんあります。それらは徐々に淘汰され、特殊な問題が一般的な問題に変わりつつあるように感じます。

もう一つの要因として『中学受験の市民権獲得』が上げられます。中学受験が一般化されれば特殊な解き方より、スタンダードな解き方に重きを置くことも頷けます。

しかし、いくら簡便になっても『小学生が中学生の解き方で問題を解けるようになる』には訓練が必要です。学習塾の社会的使命としてこの機会創造を是非とも行なっていきたいと思っています。

 

つるかめ算
『鶴と亀、合わせて15匹います。鶴と亀の足は合わせて40本あります。鶴と亀はそれぞれ何匹ずついますか?』といった問題です。鶴や亀を『匹』で数えて良いのかという問題はありますが・・・
連立方程式で解いた場合、以下のように立式されます。
A+B=15 ・・・ ①
2A+4B=40・・・ ②
これらの式を解き進めれば『鶴は10羽、亀は5匹』と表わせます。
つるかめ算での解き方は・・・教室までお問合せ下さい。