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507 9月入学

507 9月入学

前章の終わりに9月入学について述べました。その折は行政の仕組みを全て変えるなど拙速な対応では後々に混乱をきたす旨を記しました。他の面からも9月入学についての私見を挙げていきたいと思います。

 9月入学推進派が一番に挙げるのは国際化です。欧米の多くが9月入学を導入していてそれに揃えられれば海外留学が増え、海外からの留学生も増えるとの考えです。果たしてそれは正論でしょうか?

 私は前章で『海外の主流派に倣って9月留学にするのは国際化ではなく海外に阿っているだけ』と述べました。国際化とは海外の流れに倣ってどうかしていくのではありません。他者と自己がお互いを理解して受け入れることです。そう考えた時、今の9月入学論は明治維新の際に起こった西洋かぶれに見えてしまうのです。

 また、海外留学についても9月入学の方が利便的と述べられていますが、現実は厳しいのではないでしょうか。日本人が海外留学に行く際、最大の隘路(物事を進める際の障壁、ネック)は英語です。受験英語が日常会話として使えないことは周知の事実ですが、それに備える時間が取れないのではないでしょうか。

 英語圏に留学する場合、現在では3月までに卒業か学年修了を経て46月に国内で英会話、78月は現地に渡ってプレスクールというのは一般的です。これだけやっても9月の入学式以降で一番苦労するのは英語と言われています。まぁ、日本の英語教育を考えれば致し方ない問題です。

 しかし学校を再開できない現状を見れば何らかの対策は必要になります。20203月から数か月、場合によっては年単位で学校の機能が喪失される以上、何らかの対は必要になります。20204月末現在の対策として千葉市では夏休みを大幅に削減して学習時間を確保する方法を取る見込みです。それで学ばなくてはならない範囲をきっちりと学べるようになればいいと思っています。

 

ここから先は余談ですが…

そんな折、現在高校に通っている当教室の卒業生が私の携帯に電話をくれました。長々と休校にしているのを心配してくれたようです。優しい生徒さんですね。そんな折、小中学校の勉強が終わらないのではないか…という話題になりました。その先輩曰く『それならさぁ、学校全部休みにして全部塾でやればいいじゃん。それなら絶対に終わるよ。』私が単元終了の期日を常に意識して進めるよう指導していたのを覚えていたのでしょうか、生徒さんはよく見ているなと思いました。