先日、センター試験が終わったタイミングで当教室の卒業生に何件か受験労いの電話を掛けました。その折にも出た話ですが、2020年度の受験生にとって次はどうなるのか分からない状況は本当に不安だったと思います。そんな要らぬプレッシャーの中で頑張った受験生の皆さんは立派だったと思います。
1970年代中頃まで大学入試は重箱の隅をつつくような、いわゆる『難問奇問』の出題が問題化していました。また、『受験地獄』『入試地獄』といった言葉も一般化しており、その状況を打破するために1979年から共通一次試験が導入された経緯がありました。
後継の大学入試センター試験も同系試験としてさほどの混乱もなく移行されたように記憶しています。一つ大きな変化は私立大学の大挙参入です。共通一次試験は本来国公立大学の入試を前提として作られたものですが、受験生に多くの選択肢を与え、入試を簡略化するために『国立は国立の対策・私立は私立の対策』から一本化できるように変わりました。
しかし、いずれの試験も『大学を序列化する』という理由で官民から強い非難を受けていました。しかし・・・本来大学は序列化から避けられないのではないでしょうか。研究成果の上がる大学こそが評価対象となり、そこで勉強したいと志す受験生が集まる、それは極めて自然なことだと思います。
しかしその一方で『大学の国際的順位』についてはどこの意見を見ても『日本の大学を更に高い国際水準に!』と躍起になっています。つまり、国内的に競争をするな、でも海外の大学とは競争しろ、これは完全な矛盾です。
そう言えば、かつて共通一次試験を勝ち抜いて入学した学生がいた頃の日本の大学は国際競争力も高かったように記憶しています。共通一次試験だけが原因ではないと思いますが、当時のいわゆる『知識詰め込み型学習』にもそれなりのメリットはあったものと思います。
さらに・・・『大学の序列化』を否定するような教育改革がこの時期になされましたね。悪名高き『ゆとり教育』です。今でも一部の教育評論家の間には『ゆとり信者』が少なくありません。講演で話を聞く機会も多々あります。しかし、今の世の中は『ゆとり教育』を求めてはいないようにも思うのです。特に世界水準では・・・
受験に縁のある仕事をしていると“きちんと頑張った評価を適正にして欲しい”と強く思うのは必然です。目の前で必死に頑張っている生徒さんを見ていて切実に思います。