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460 鉛筆考

460 鉛筆考

小学校低学年、なかには小学校を卒業するまで鉛筆を使うよう指導される先生がいらっしゃいます。学校によっては全体的な取組みで鉛筆を使うよう指導するケースがあります。これにはいろいろな考え方・教育方針があるようです。

教育方針の一つに『毎日必要な本数の鉛筆を削って学校に持参する』ことを教育効果の一つに挙げるケースがありました。確かに明日の授業を確認してどれくらいの鉛筆が必要か考えることは有効なのだと言われればそのような気もしますが、現代社会ではあまり実効性がないようにも思います。

中学生になるとシャーペンが圧倒的なシェアとなります。これを考えても『小学生は鉛筆で勉強』は時代遅れなのではないかと思っています。また、通塾している小学生の生徒さんを見ていても教育効果が上がっているようには見えないのが現実です。

毎日削っていくことが大切と小学校では教わるようですが、きちんと削ってくる生徒さんはむしろ少数です。道具として考えてもシャープペンシルの方が利便性で勝っています。また、芯が丸くなったままで演習し続ける小学生にシャーペンを使わせたところ、ノートが格段に整理できたという効果も見られています。

以前『筆算の横棒を定規で引かせる指導は演習効率が落ちてしまって逆効果』と述べました。これは小学校の指導で『見た目を重視』するがためのある種行き過ぎた指導だと思います。同様に『小学生は鉛筆で勉強』も見た目からの発想なのかと思っています。

また、『授業中にシャーペンが壊れたときに…』と言う指摘もあるそうですが、それは問題のすり替えではないでしょうか。シャーペンを直すのに一生懸命で授業を聞き逃してしまう…と言うのは『授業をきちんと聞こう!』という意識が薄すぎるために起こることです。

また、一昔前・ふた昔前はシャーペンは高価なもので『なくなると困る』と学校の先生方が気を揉むのも理解できましたが、最近のシャーペンは(特に小中学生が好んで使うようなものは)安価なものが大半です。斯様な配慮は要らぬものと思います。

 

ただ、これほどまでにシャーペンの優位性を述べてしまうと『何が何でもシャーペン、鉛筆は時代遅れで使っている人の気が知れない』と言っているようにも聞こえてしまいます。現実問題は違います。代表的なものにマークシート方式の試験、これは鉛筆の方が圧倒的に使いやすくなっています。大切なことはTPOを考えてこの場面ではどの道具が一番使いやすいかを判断することは学習効率向上に役立つことだと思います。