2019年の流行語に『後悔などあろう筈が・・・』というものがありました。これは同年シアトルマリナーズを引退したイチロー選手が引退会見で発した言葉です。イチロー選手の言葉は非常に強いパワーを秘めたものが多かったように思います。
イチロー選手の言葉で私が個人的に『すごい言葉だな・・・』と思ったのは引退した年のオフシーズンに開かれた少年野球教室での言葉でした。彼の言葉には『相手が大人だから・・・』『子供に対しては・・・』という遠慮が感じられず、全力で伝えようという気魄に満ちていました。
イチロー選手の言葉
これからの時代は厳しく指導してくれる指導者には出会えなくなるでしょう。その時にキミたちは自ら厳しく訓練しなければならない。上手くなりたい、心の底からそう思うなら自らに厳しい訓練を課してください。
この言葉はこれから険しい道のりを歩もうとしている少年たちに対して愛情溢れる言葉であると同時に、今の時代を見事に読み切った慧眼(けいがん;物事の本質を見抜くこと)だと思いました。
誰彼構わず厳しく指導する時代は終わっています。だからこそ自身に対して厳しくあれ、イチロー選手はそう言っているのではないでしょうか。
学習塾でも同じことが言えます。ある時代まではスパルタ塾なるものが主流を占めていたこともありました。しかし令和の時代においてそれらは稀少な存在です。しかし、それが長ずれば学習塾では厳しいことを一切やらせない・指摘しない、これが本道となってしまいます。
でも、それは正しいのかな・・・こんなご時世の中でそう考えることも多くなりました。心の底から『何としても勉強が出来るように、だから自分に厳しく・・・』という小中学生は(保護者様は除いて)少ないように思います。彼らに対して厳しい指導は『合わない指導』となってしまいます。反対に厳しい指導を期待して入塾されるケース(これは保護者様の意向が強いのですが・・・)もあります。それら双方の期待に沿えないかと自問自答する日々です。
そして最近漫然と『厳しくする・甘くする、が目的ではない。目的はあくまで要求学力まで伸ばすこと。それを勝ち取るための手段として生徒さんの特性に応じた指導技術(これに『厳しく』『甘く』が含まれる。もちろん程度も特性に応じて)として活用していく』『そのために必要なことは真剣に向き合うこと』という結論に至りました。
小欄でも従前何度も『生徒さん一人一人に対しての対応は異なる』と述べてきました。時として『えこひいきだぁ!』と捉えられることも少なくありませんでした。しかしそれで生徒さんや保護者様の求める結果が出れば良いのだと思います。『結果を出す塾』、これが世の中から求められることではありませんか!?
学習塾の教室運営業務は会社員時代を含めてウン十年、み春野の教室に着任してからも2020年秋で10年になります。でもまだまだ試行錯誤の連続です。その中からより研ぎ澄まされたもの・より正解に近いものを見いだせるように、そして具現化できるようにしたいと日々願っています。