既に皆さんも報道をご覧になっていると思います。新たに実施予定の大学共通テストでは2019年12月12日の時点で『数学・国語の記述式問題の導入』が見送られることになりました。先の『英語の民間検定試験導入』に引き続きの見送りで今回の改革は目玉であった施策が両方ともなくなりました。
現在のセンター試験は一度に50万人以上が受験する試験です。日本で一番大きな試験、ましてや大学入試、つまり人生がかかっている重要な試験が実施の一年前に概要さえ決まっていないのは…残念ながらお粗末なのではないでしょうか。
従前小欄にて訴求していることですが、教育の政治利用はそろそろ止める時期なのではないかと強く思っています。『現状の良くないとされているシステム』より、『小手先の改革や実情を知らない役人が現場を引っかき回すこと』の方がより大きな悪害をもたらします。そしてそれらの被害者はこれからの社会を担う小中学生、高校生なのです。これ、今回の『大学入試制度改革会議』を運営した方々は理解しているのでしょうか!?
少し熱くなってしまいました。話題を変えてクールダウンしましょう。今回の改革で上がった『記述問題への対処』を受験生側・試験を受ける側から考えてみたいと思います。これは各方面からの指摘を待たずとも『記述式問題を苦手とする小中学生・高校生が増えている』ことを日々実感しています。しかし、これらを苦手としている生徒さんにもある『魔法の言葉』を掛けてあげることによって塾を卒業する時には大きく変わっていることに気付かされます。
それでは記述式問題を苦手にしている生徒さんの共通した特徴を見ると・・・ ちょっと大人しくて誤答を書いてしまうことに臆病なところがあるように思います。そんな生徒さんの心理状態は・・・ 『間違えたことを書いちゃうと恥ずかしいから、それなら書かずに×を貰おう・・・』となっているケースが非常に多く見られます。これは実際に生徒さんから聞き取った声から判断しているので我ながら信憑性のあるデータだと思っています。
この白紙解答に対してワタシは記述式問題の採点方法を明かしています。『記述問題は部分点がある。模範解答と違ってもキーワードが書けていれば○ではなくても点数を貰えることがある。』と伝えます。すると次からは少しでも書こうとした努力の形跡を見ることが出来ます。一定以上の時間はかかりますがそれが積み重なると記述式問題を克服することが出来るのです。
何事も一足飛びに出来るようにすることは難しいことです。苦手な記述式問題を『×』から『○』に出来る特効薬はなかなか見つかっていません。それなら0%を10%に、それを20%・30%にする努力(これは教育学的には『スモールステップ』と言います)をする方が容易に取り組めるのではないでしょうか。そしていずれは100%に辿り着けるように取り組んでいくことが『勉強を継続する意義』だと思うのです。
今回の大学入試制度改革では2019年度の高校2年生までは記述式センター試験がないことは確定しました。しかしそれ以降はこの試験がそのまま続くとは限りません。将来的には記述式への対応を求められる試験が導入されることは容易に予測できます。それ以前に『センターを利用しない一般入試』には記述式問題は存在します。それなら記述対策の準備は早めに着手すべきです。『先んずれば人を制す』の精神です!