2019年は平成から令和に変わった歴史的な年になりました。様々な行事をテレビ画面越しに、PC画面を通して、そして直に見る機会があったのではないでしょうか。代表的なものをいくつか挙げていきましょう。
2019年5月1日に践祚(せんそ;天皇の位を引き継ぐこと)の後、今上天皇(『現在の天皇』という意味です)が即位しました。そして2019年10月22日に行なわれた『即位礼正殿の儀』がありました。これは海外における戴冠式と同じ性質のもので国内外に即位を宣明する役割を果たします。
そして2019年11月14日に大嘗祭(だいじょうさい、古くは『おおなめのまつり』と読まれたこともありました)が行なわれます。大嘗祭とは即位の後に新穀を神々に備え、天皇自身においてもそれを食します。それにより国家国民の安寧、五穀豊穣を天照大神及び天神地祇(てんじんちぎ;天の神と国の神を指します)に感謝し、祈念します。
大嘗祭は一般的に宮中祭祀の新嘗祭(にいなめさい、にいなめのまつり;ほぼ毎年行なわれます)と同じく収穫感謝の秋祭りとされています。従って大嘗祭が行なわれる年は新嘗祭は行なわれません。大嘗祭は天皇一代につきたった1回しか行なわれない祭祀なのです。
さて、ここでクエスチョン。5月1日の即位、10月22日の即位礼正殿の儀、11月14日の大嘗祭、これらの行事のうち一つの仲間はずれがあります。それは・・・? 仲間はずれは『大嘗祭』です。他の二つは国事行為、対して大嘗祭は天皇家の祭祀なのです。まぁ、政教分離主義(政治と宗教は切り離して考えましょう、という考え方)を掲げる日本国として大嘗祭はあまりに神道色が強すぎます。かと言って宗教色を廃してしまうと伝統・文化の継承という観点から大きく外れてしまいます。これらの点を踏まえ、天皇家の祭祀として次の世代へ継承していく方が自然ではないかと思います。
勉強、という側面でこれらの行事を見ることもありだと思いますが、それ以上に興味を持って見て欲しいなと思います。何しろ数十年に一度のことですから。平安絵巻さながらの衣装や建物を見れば教科書に味気なく載っている古文や歴史も少しは生きたものに見える・・・といいな・・・と思っています。