以前お預かりした小学生の生徒さんの話です。非常に几帳面な生徒さんでノートもきっちりとしていなくては気が済まないようでした。多少ずれるようなこともあって良いと思うのですが、それを是認することができずに『全て消して書き直す』様なこともありました。ウ~ン…
この生徒さん、非常にきれいなノートを作っており、それに対して是正させる必要はないと思っていました。しかし、お母様から『ちょっとした勉強をするにも時間がかかりすぎてしまい・・・』と相談を頂いたことを機に改善するような働きかけが始まりました。
典型的なものに『筆算の横棒』がありました。大きな数のたし算ひき算や2桁以上のかけ算わり算では筆算を行いますが、その横棒全てを定規で引いていた、それが時間のロスに大きな影響を与えていたように思います。
確かに学校では習い始めの時期(小学2年生)に『定規で引きなさい』と先生から指導されます。この指導には『定規で線を引く訓練』やグチャグチャ防止で計算ミスを減らす効果もあり、小学校低学年で実施するには一定の効果があるものです。しかし、それが長じるとあまり良い効果は生まれないように思います。
小学校高学年・中学生になってもこの習慣が抜けないと計算の遅滞が起こります。また、『フリーハンドで書く』こともできなくなってしまいます。よく『文章題が分からなければそれを図にしなさい』と指導するのですが、それに定規を使ってしまうと膨大な時間がかかってしまいます。ただ理解を促進するためだけのメモ書きなのに・・・
中には小学校高学年になっても定規で線を引くことを求める先生もいらっしゃいますが、演習速度に重きを置く場合、フリーハンドで書くことも『正解』となります。更に踏み込めば『学校の先生もそこまできちんと根拠を持って指導』してほしいものです。これは先生ご自身がどう考えるか・どう捉えるかという問題にも関わってきますが・・・
学校教育の手前もあるので当教室では「『この教室内では』定規を使わなくてもできるように」という指導を行うこともあります。特に中学受験を漠然とお考えの小学校低学年の生徒さんには重要なポイントです。大人が「建前できれいに書かせるため」に行っていることは時として学習効率を著しく阻害することがあるのではないでしょうか。