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390 中学・高校入試情報

390 中学・高校入試情報

夏休み明け、私立中学・高校に挨拶回りを行う時期となりました。昨今は大学入試改革の影響を強く受けたものが非常に多く感じられます。私を含めて『これまでの常識』では対応できなくなる、そんな危機感を強く感じました。

一つ目は英語や国際化対応科目に対する重点対策、それに相反しての『総合的成績』の要求が強まっています。英語の重視は言うまでもないことですのでここでは割愛します。問題は総合的成績の重視です。これまでは私立高校で重視していた『英数国の3科目』『英数国理社の5科目』から転換を図ろうという学校がぽつぽつ出てきたことです。つまり、私立入試にも『音楽』『美術』『技術・家庭』『保健体育』の実技4科を含めた9科目の成績を求める学校が出てきた、という点に注目しましょう。今までは『受験に関係ないから…』と対策をしなかった、それが出来なくなるわけです。

これは『大学入試の推薦対策』と考えられます。大学入試の仕組みとして『平均評定』の算出方法を知らねばなりません。平均評定は特別な指定がある場合を除き、全ての科目が対象になります。従って『音楽は入試に関係ないから…』とサボってしまうことは出来なくなります。もっと深刻なことは『私は文系だから生物は諦めた!』『僕は理系だから古文は出来なくてもいいや』が許されなくなるのです。その初段階、つまり中学生時代の成績を確認するためにこれらの変革が必要となる、そのような説明を受けました。

もう一点、これは主に小学生をお持ちのご家庭に確認して頂きたいことですが、もし国立大学医歯薬系進路に進ませたい』とお考えなら今や高校受験で頑張って…という時代ではなくなってきていることを認識すべきなのかな、そんなことを感じさせられました。

中学受験にお詳しい保護者様ならご存じかもしれませんが、東京の男子御三家・女子御三家のうち、高校募集をしているのは開成高校だけです。それ以外は中学入試又はそれ以前に合格を勝ち取らねばなりません。高校受験の時期になって『やっぱり…』は無理なのです。

新進の進学校も徐々にその傾向が顕著となっているように感じます。千葉で見れば『東邦大東邦』が高校募集を停止しています。また、高校募集をしていても高校進学時に『内部生』『外部生(高校から入学した生徒)』を同じクラスにしない(つまり授業内容が違うわけです)高校も多数存在します。

中高一貫校の進路実績(中には外部秘の資料を見せてくれた学校も…感謝しています!)は圧倒的に中学受験を経て入学した内部生が突出した結果を出しています。外部生も頑張っていないわけではないのですが… しかし、厳然とした事実・圧倒的な結果があれば私立中学・高校として『完全なる中高一貫』に舵を切る判断も理解できます。

ある高校(中学をお持ちでない学校でした)の先生曰く、『高校受験で上位を争う時代は終わったように思う』とのこと。それだけ中学受験が市民権を得てきたのかと思うと複雑です。しかしある教育機関の研究では『6・3・3・4』より『6・6・4』の方が学力が伸びる研究結果も出ています。我々はそこに期待するしかないのではないか、そんなことも感じた学校訪問でした。