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379 小中学校統廃合問題

379 小中学校統廃合問題

千葉市の小中学校が夏休みに入った7月14日、とある勉強会に参加してきました。表題は市中の小さな塾が論じるにはあまりに大きな問題ですが、こんなことが起きていると発信することに意義があるのではないかと思っています。

少し時代が遡りますが、平成という時代に市町村の統廃合がありました。平成11年(1999年)から平成26年(2014年)の15年間に3,232市町村を1,718市町村に削減したのです。大きな理由の一つに財政改革がありました。2007年に起こった北海道夕張市の財政破綻に代表されるように財政が立ちゆかなくなる地方公共団体が目立ち始めた頃でもあります。

しかし、この政策は果たして正しかったのか…? 私にはいくつかの疑問が残っています。一つはこれを実施することによる行政サービスの質低下、もう一つは統廃合することによって起こる過疎の加速です。今まで歩いて行ける場所にあった市町村役場が遠くなった、行政サービスの均一化を行った結果として切り捨てられたサービスがある、市町村役場に行くためには半日掛けてバスを乗り継いで行く必要ができた、などなど… それならそんな不便なところより都市部に住もう、そう考える人は少なくないはずです。

この問題と同じような轍を踏むものが『小中学校統廃合問題』なのではないかと思います。行政の本音は恐らく『経費』なのではないでしょうか。しかしそれを教育の質と置き換えて住民の皆さんや学校に通う児童・生徒の皆さんを論破しようと考えているところが滑稽です。

行政側の主張は大きく分けて3点だそうです。まず、『大規模学校の方が学力が伸び、社会性が育つ』と主張しているそうです。しかしそれは間違いです。学力が伸びるか伸びないかは教える側の資質であり、環境の一部に過ぎない教室規模には左右されません。社会性も然りです。反論する資料として以下のリンクを挙げます。

http://www.kantendokoro.com/entry13.html

これは世界保健機関(WHO)による指針です。面白いところはアメリカ合衆国・日本と最近凋落の目立つ経済大国の2国が未だに大規模学校運営をしているところではないでしょうか。

2点目、行政側の主張に『小規模校だとイジメが起きた際にクラス替えできない』、これは論外なのではないでしょうか。イジメが起こる前提で論議しています。いかにイジメを起こさぬような学校運営・学級運営をするか、そこが根底となるべきです。そんな観点に立てば小規模校の方が目が届きやすいと思うのです。

最後に『小規模校だと学校行事や部活動に制限がかかる』、確かに人数が揃わなければ体育祭や運動会、団体球技もできません。しかしそこには解決できる手段・工夫があるのではないでしょうか。運動会や体育祭の時だけ近隣の学校と合同実施する、部活動も然りです。これを実施しているのが高校野球の『連合チーム』です。『○○高校□□高校連合チーム』、2019年の夏の予選では86チーム234校が出場しているそうです。大いに参考とすべき事例ではないでしょうか。

反対反対、と述べるだけでは生産性が上がりません。しかし、小中学校は地域コミュニティの中核でもあります。従ってそう安易になくすことはできないはずです。大きな災害が起こった時には大人数を収容できる避難場所にもなり得るところです。それなら『いかに存続させるか』を前提に論議すべきではないかと思います。