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374 小学生から始まる高校受験

374 小学生から始まる高校受験

なんとも衝撃的な話題です。以前このようなことを話したら『小学校の頃から受験勉強が始まるなら中学受験させる!』と言われたこともありました。しかし、私の言わんとしていることは極めて当たり前のことに過ぎません。

小学生の勉強が解らない、不安要素がある、そんな場合は早々に改善できる環境を整えてあげなくてはなりません。ここで重要な科目は『算数』『国語』、そして『英語』です。理科・社会についても分かる方が良い、これは事実です。しかしこの2科目については中学校に入ってから挽回することが可能です。

つまり、『算数』『国語』『英語』は分からなくなっていると中学校に入ってから挽回することが不可能に近くなります。算数を例に挙げると『分数・小数の計算』などの基本事項から『文章題』まで小学校6年間で習得しなければならないことがあり、中学校の勉強はその基礎の上に成り立つのです。多くの中学生が苦手にする『速さの方程式』『割合の方程式・関数』などの考え方は小学校で培うものなのです。言い換えれば小学校で未消化があれば中学校では当然…となります。まさか中学校の先生に『ここの分数はどうやって計算すれば…?』と授業中に質問しても…厳しいですよね!? 一方では数年前に『都内某中堅私立大学の文系学部に通う学生の4人に3人は分数の計算ができない』ことも統計として公表されています。

英語学力格差がかなりの速度で拡大されています。小学生からやっている生徒さんと中学校になるまで待つ生徒さん(これには小学校でやる英語だけ、を含みます)、大体1学年ほどの差ができています。具体的な例を挙げると、中学受験の入試加点要素でこのような基準を示している学校があります。
『英検4級以上を取っている受験生は判定優遇します』(優遇の内容は割愛します)
英検4級は中学1・2年で到達するのが望ましいと思われるレベルです。

これ、『中学受験するくらいだから…』と思われがちです。しかし実情として『中学受験するなら英検対策で時間を使う余裕はないと考える方が妥当ではないでしょうか。従って6年生になって勉強して取ったと考えるより、それ以前に勉強していたと思った方が自然です。因みにこの学校の英語の授業は中学1年の春から習熟度別クラスを採用しています。つまり、英語力を伸ばしたい生徒さんは青天井で実力を蓄えることができるのです。

国語は…上記2科目より深刻かもしれません。授業中、解答解説を読んでも意味を読み取れない、と質問してくる生徒さんが増えてきているようです。塾に馴染むうちに解説の読み方やテキストの使い方を身につけるので長期在籍している生徒さんほどそのような質問はほぼ出ないのですが…

これは小欄で何度となく訴求している『読書離れ』に他ならないと思っています。『読まない』、だから『読んで理解ができない』『理解できないから面白くない』『面白くないから本は読まない』、これは教育における負のスパイラルです。難しい教育改革の話をする前に『書いてある、喋っている話を正確に理解する』ことを最優先に取り組んで欲しいと思っています。

ここ数年漫然と考えてきたのですが、小学生から始める高校受験コース』をもっと真剣に考えようか、そんな欲求が生まれています。何も小学生からガツガツとやらなくてもいい、ただ『できなくてはならないことはできるようになろう』という形を形成できれば良いのかな、そんな風に考えています。

昔は学力分布の山が平均点近くに1つある、いわばヒトコブラクダのようなグラフを描いていました。しかし最近は中間層が極端に少ないフタコブラクダのようなグラフになっています。これは学力の2極化を端的に示しています。『勉強が苦手』な方のコブに一度入ってしまうとなかなかリベンジは叶いません。それなら中学校に入る前からコツコツと準備することも大切なことだと思います。