『≠』は『等しくない』の意味です。
受験業界で避けて通ることの出来ないモノに『偏差値』『学校の優劣』があります。偏差値とは「学力検査結果が集団の平均値からどの程度隔たっているかを示す数値」です。『○○高校は偏差値55、□△高校は偏差値50』などの表記をご覧になったことがある方も多いと思います。
上記の例で言えば一般的には『偏差値55の○○高校』の方が良い学校、と言われます。世間的な評価も高くなります。しかし…私から見ると必ずしもその図式、『偏差値が高ければ良い学校』という図式は当てはまらないように思います。
第一に『学校にはそれぞれ指向性がある』ことが挙げられます。『文系に進む生徒さんには良い環境であっても理系は丸っきり…』『授業内容は非常に充実しているが進路指導は…』『一般受験やセンター対策は非常に意欲的だが、推薦になると…』『大学進学は考えてくれるが、就職や専門学校は後回しにされて…』などなど。勿論これの逆、というケースもよく見られます。生徒さんそれぞれが希望する将来像に近い環境を提供してくれる学校を選ばせたい、示したいと思う毎日です。
第二の問題点、高校受験では公立私立の問題もあります。千葉県のような公立絶対優位地域ではどうしても私立が低めに出てしまう傾向があります。世間で出されている偏差値一覧表を鵜呑みにして『第一志望の公立に合格したから…』と安心してしまうと高校卒業時の進路選択幅がビックリするほど狭くなってしまうことがあります。熱心な私立高校なら進路指導が充実している(それが学校評価の向上に直結するため)ことが多いのでそこで逆転も十分に可能となってくるのです。受験が『希望の将来を掴み取るための手段』であれば、通過駅(高校)のブランドより目的地(大学やその先の将来図など)を確実に掴み取れる列車に乗るべきなのではないでしょうか。
第三の問題は少し辛辣です。偏差値は入学時の数値であって卒業時の数値ではありません。この点は大きな問題に思います。最近多いのですが『自由で伸び伸びとした校風、勉強より他のことを充実』と謳い、入学時の人気を集めている学校があります。これは公立私立を問いません。結果として私立中学・高校受験時には上位2割には入れた力があっても大学受験時には下位2割に入ってしまう、等といった例もあります。その学校で過ごした時間は少なくても勉強に関しては…無駄なのではないかと思います。勿論、伸び伸びとした環境で過ごしたい生徒さんの気持ちを無視するわけではないのですが、思いは複雑です。
挙げればまだまだ論点は出てくるのですが、上記のことだけを見ても『偏差値=学校の優劣』とはならないのがご理解頂けると思います。新受験生の皆さんはこの時期から進路探しを行っても決して早過ぎるわけではありません。じっくりと情報を検討して下さい。