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320 高校生になったら・・・

320 高校生になったら・・・

2019年高校受験も終盤を迎えた頃、様々な面で不安になっている生徒さん、その多くは『こんなことならこれをやっておけば・・・』『何であの時、これをやらなかったのだろう…』と愚痴に近い反省を漏らす生徒さんがいました。気持ちは分かるな。大人になってもそれはあるよね…

しかし中学を卒業して高校に進んだら是非やってほしいことがあります。これはほとんどの生徒さんに話していることなので教室内で言うと『また言っている…』と冷ややかな目で見られるのは辛いことですが…

一つ目は読書の励行です。国語に限らず問題文を読むことに多くの時間を割かれてしまう生徒さん、語彙力が足りなくて解説文の意味を理解できない生徒さん、文章構成の意味が分からずに作文で非常に苦労した生徒さんなど、共通した点は読書をしたことが殆ど無いことでした。

良く聞かれる質問に『では、どんな本を読んだら良いですか?』『読んでいる途中で飽きちゃうから・・・』のようなものがありますが、私は決まって『本屋や図書館へ行って興味の湧くタイトル表紙デザインのものを読んでみると良いのでは・・・』と答えます。興味から入れば敷居は低くなり、そこから世界を広げることも容易になります。一冊読み終えたら同じ作者や同じ系統を題材にしているものを間を開けずに読めば読書習慣の構築にも繋がります。

二つ目は早期準備です。これは小欄にも事あるごとに記しているので読み覚えのある方もいらっしゃると思います。定期試験1週間前になって準備をするより2週間、そして1ヶ月前から準備が出来ればより良い試験勉強が出来ます。そもそも日々の勉強をコツコツと積み上げれば試験勉強という概念さえ必要ではなくなります。

この話が大きくなると『受験』に結び付きます。高校1年生になったときから、いや、高校受験に合格したときから次は大学受験と考えれば自ずとしなければならないことは割り出されてきます。何も1日3~4時間、とする必要はありません。きちんと計画的に出来るなら1時間ずつでもいいのです。一番良くないのは『受験終わったぁ! あと2年間は開放の日々を味わうぞ!』ではないでしょうか。

三つ目、これは『えっ…!?』と思う方も少なくないと思います。しかし大切なことです。『きちんと3年間で卒業すること』です。年度によって変動はありますが、2015年度では全国で5万人近く、率に直すと1.4%の高校生が中退を余儀なくされています。学業不振、人間関係など理由は多岐に渡りますが非常に残念なことです。

ただ、だからと言って『高校は絶対に辞めてはいけない!』と考えているわけではありません。非常に伝わりにくいことなのですが… 辞めなくてはならない状況を我慢せよ、としているのではなく、そのような状況にならぬよう日々を過ごしなさい、と助言しています。学業不振とならぬよう日々少しずつの努力を惜しまないよう生活する、そして友達や先輩後輩に対しても誠実に向き合うことでこれまで目にしてきた多くの退学事例が回避できたのではないかと思っています。

良く定期試験のあとに生徒さんと話すことに『前回と同じ反省を今回していないか、そして次回の試験後は今回失敗したことを活かせるか』があります。それを拡大解釈すれば『中学校生活や高校受験で犯してしまった失敗や反省をどうやって高校生活や大学受験に活かすことが出来るか』と考えることはとても大切な課題なのではないでしょうか。今回の大変な経験が次に活かされるよう心掛けてほしいと切に願っています。