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310 教材考

310 教材考

勉強をする場である学校と学習塾、同じ勉強をする場所でありますが、実は色々な違いがあります。教材はその最たるものの一つです。学校、特に公立小中学校は使用する教材、つまり教科書も既定のものを使い、それに沿った学習を進めなくてはなりません。

一方学習塾ではその塾によって考え方が千差万別です。特に個別指導塾では『生徒さんそれぞれの特性に合致した教材を使う』ことを建前として教材選択が行われます。その結果、様々な教材が必要となり、場合によっては使い切れないほどの教材を持て余すこともしばしば見受けられます。

また、学力ごとに教材を分けることを建前として運営しているがために扱う教材の数が増え過ぎて効率的な授業運営が出来なくなっているようなケースもあるようです。先日聞いたケースでは『偏差値55~60はこの教材、60~65はこの教材・・・』としてしまったために模擬試験(模試で偏差値が変動するのは当たり前のことです)のたびに教材が変わる、と言った笑い話のようなことも現実的にあるそうです。

また、教材会社のご担当からも上記のような話を伺ったことがあります。『偏差値に合わせた教材を作ってほしい、という話が良くありまして・・・』とのことです。ただ、このような要望を出すような塾は傍から見ていると成果が上がっていないように感じます。教材の特性が把握できていないのか、教材を作った狙いが理解できていないのか・・・

LS WILLでは教材の細分化は極力行わない運営を心掛けています。1冊の教材の中にも初級の問題から上級の問題まで幅広く取り揃えています。それらを取捨選択(これは私が指示します)して演習するよう指導しています。解けなくてはならない問題解けるようになってほしい問題現段階では飛ばして良い問題と仕分けして演習するようにしています。

この教材活用法はある有名な教材(名前を挙げれば塾業界の人であれば誰もが知っている教材です)の編者を務めた方に教えて頂いた方法です。この授業運営に限っては未だに自己流が出来ず、その方の受け売りです。しかしそれが現在の成果を生み出しているのではないかと思っています。生徒さんにも『むやみに自己流で問題を解いたら解らなくなるよ!』と言っていることにリンクしてしまうのですが・・・

また、その授業が受験直前期なのか、学校定期試験対策なのかによっても取捨選択の判断基準が変わってきます。学校定期試験対策であれば難問や入試過去問は必要ありません。基礎がきっちりと得点化できるような対策の方が重要です。逆に入試直前になればサービス問題を確実に得点化しつつも少しひねったような問題に総合的な対応ができる力も構築しなければなりません。

結果的に他の学習塾(特に個別指導塾)に較べて使用する教材はかなり少ない量で運営していると思います。これは過去にご家庭から『上の子(他塾で高校受験)の時に較べて教材が少ないけど・・・ でも、一冊の教材を解き潰す徹底ぶりは凄い。』と驚いて頂いたことがあります。

ムダに多い教材を使用するとどうしても重複する箇所漏れてしまう箇所が出てきますが、一冊を軸にして解き潰す、それも2回3回と演習することで学習内容がしっかりと仕上がります。無駄も最小限に抑えることが出来ると思います。試験前や受験直前になると新しいテキストが魅力的に見えて・・・という気持ちは理解しますが、手元にある一冊に拘って解き進めることこそがキミの望みを叶える近道だと思います。

蛇足ながら・・・学習塾で使う教材、意外に高価なものが多いのです。特に毎年傾向の変わる受験直前期の問題集は最たるものです。『えっ、こんなに薄いのに1,500円?』『このポイントだけなのに2,000円!?』これは教材展示会で私がしょっちゅう持つ感想です。そんな話を生徒さんにしたら『先生がケチなだけだよ!』