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297 進路を決める意味 ~中学受験編~

297 進路を決める意味 ~中学受験編~

センター試験の大幅な改革などで大学受験が大きな混乱を起こすことが予見されています。また、昨今喧しく言われていることですが、都内の中堅私立大学の難化傾向で大学入試が激変することが予想されています。高校で進路指導をご担当されている先生より『滑り止めで止まらない。。。』という嘆きのお言葉を良く伺うようになりました。

細かい各論はここでは述べませんが、これによって私立の中高一貫校大学附属中学校に対する人気が高まっています。中学3年間と高校3年間、方針の異なる学習では大学入試に不利という考え方は理解できます。6年間一貫した方針で学力を育む方が骨太の学力を形成できる、当たり前の理論です。

また、大学付属の中高一貫校なら学内で一定以上の成績を取ることでエスカレーター式に大学に入れる、このメリットを最大限享受することも可能です。近年は特に大学付属系の中学校に人気が集まっているように思います。

ただ、この大学付属系中高一貫校、学校によって考え方が全く違うこともありますので出願には注意が必要です。大学に求められる人材を育成することを使命とした学校他大学に優秀な人材を輩出することを目的とした学校とに分かれるように思うのです。

私が学習塾業界に入って1年目、何も分からずただがむしゃらに取り組んだ年に中学受験でA学院大学の附属中学校に合格を勝ち取ることができた生徒さんがいました。中学入学後も塾での学習を続けてくれたのですが、その様子に驚かされました。学習進度は言ってしまえば公立中学校と何ら変わりはありませんでした。中学も、そして大学も上位校と呼ばれる位置にあるのに・・・ 学習塾業界2年目を迎えた私はそのことに興味を覚え、色々と調べました。

調べた結果、A学院大学の付属校(小学校~高校)は決して特殊な進め方で授業を行っているわけではないことが分かりました。きちんとした学力の上に立脚した知識を据え、それを持って大学に進ませることを最大の狙いとしていたのです。従って進度は『進学校』『名門校』と呼ばれる中学高校より遙かにゆっくりですが、理解喚起を促す学習深度という面では勝るとも劣らずと感じます。因みにA学院大学の附属高校は例年7割を超える生徒がA学院大学に進学します。

ただ、系列大学以外の進路を希望する生徒さんにとっては少し酷に感じます。学校以外にも予備校に通って受験に備える必要が出てきます。国公立大学に進みたい生徒さんはなおさらと言えます。

対してA学院大学の隣にはK学院大学があります。この大学も付属を持っています。この中学高校はK学院大学に入れることを狙いとしていないことが分かります。系列大学に進むのは毎年15%程度、それ以外の卒業生の多くはそこより上位(嫌な言葉ですが・・・)の大学に進むことが多いように思います。

当然中学・高校の勉強は受験色が濃く、進度も速くなっています。系列大学に入るために付属の受験をした生徒さんにとってはあまり歓迎すべき環境ではないと思います。付属だからノンビリ・・・と言うことも現実的ではありません。

大学まで決めてしまうような形で中学受験をさせたいとお考えの親御さんには入試の偏差値ばかりではなく、高校を出た先の進路についても入念に検討した上で志望校を決めて下さるようお伝えしています。その上で併願作戦についても『偏差値以外の観点も含めて』お伝えしていけたらと思います。