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296 進路を決める意味 ~高校受験編~

296 進路を決める意味 ~高校受験編~

毎年春先に受験生対象の進路志望調査を行います。これは『この志望校に届かせるためにどういった指針でこの一年を過ごさせるか』の綿密な計画を作成・再確認するための大切な一手間です。紙面で調査する以外にも日常会話の中で進路を意識して貰い、どんな将来像を描いているのかイメージを共有します。こちらからも最新の情報を提供し続けます。それらが重なって『心の底から行きたい進路』が明確になり、志望校になるのではないでしょうか。

志望校決定には大きく分けて2つのパターンがあります。一つは入会当初から『○○高校に行きたい』『○○中学には絶対入る』と明確な考えを持っているケース。もう一つは『頑張れるだけ頑張った上で志望校を決める』というものです。どちらが優れている、どちらの方が確実という話はここではナンセンスなので取り上げません。

ただ、志望校を受験校に確定させなければならない時期はあると思います。高校受験生ではその指標とされている時期が学校で行われる三者面談です。中学校ではこの面談結果を踏まえて資料を作成し、本格的な受験体制に入らせることが一般的です。12月中旬に行われる対私立高校交渉に備えてと考えれば妥当なラインです。しかし・・・

千葉県の高校受験生は過半数の生徒さんが公立高校に入ることを希望している現実を考えれば11月の三者面談で公立高校まで確定してしまうのは少し酷に感じます。ましてやシステムで認められている『志願変更』(現状では後期にのみ認められています)も『認めない』『受付初日だけしか認めないとしている中学校がいかに多いことか。

確かに中学校教員の負担を考えればある程度の制限はやむを得ないことと思います。しかしだからと言って一律に受け付けないのはいかがなものかと思います。生徒さんの中にはどうしても公立に行きたい、点数的にはギリギリ、そして確定した倍率が・・・となればシステムを活用して志願変更せざるを得ない場合も出てきて自然だと思うのです。それを一律に『ダメ!』と言ってしまうのは残念なことです。

進路を決める意味はそのまま将来を決めることに繋がってきます。高校受験ごときで何が決まる、というご意見もあるでしょうが、3年間通った高校である程度大学のランクが決まります。そして大学が決まれば就職先が・・・となれば決して大袈裟な話ではないと思います。だからこそ現在、学校以外の教育サービス産業が隆盛を保っていられるのではないでしょうか。

志望校は、特に第一志望はじっくりと腰を据えて考えたいものです。それが出願直前になっても仕方ないと思います。それだけ大事なことなのです。私自身もそれにお付き合いしたいと考えています。直前まで悩んで結構! そう思っています。

ただ、私から提案できることが一つあります。それは『今挙げている第一志望は決定ではなく、迷っている最中』であることを伝えてほしいのです。何年かに一度あることですが、決定と思っていた志望校とは違う学校に出願・受験するケースがあります。こちらはA高校と把握していたのにB高校だった、しかもB高校はA高校より上位校だった、もしくは評価方法が著しく異なっていた、これは・・・

小欄の冒頭にあるように『定めた志望校に行けるような』学習計画に沿って進めているものを数週間で路線変更することは非常に難しいことです。それに対して『迷っている』ことを早めに伝えてくれればそれに対する準備も少なからず可能です。

学習塾に何ができる、と学校の先生やお父さんお母さんから叱責を受けそうですが、これを遂行することが学習塾の存在意義だと思います。それなら何でも伝え合える関係性が大事なことだと思うのです。