もうだいぶ前の話になりますが、ある卒業生から相談を受けました。この章はプライバシーに留意しながら話を進めていきたいと思います。

その卒業生の先輩、彼●ができたそうですが、そのせいで生活のなにもかもが手付かずになってしまって…とのことです。教室に来てくれた時もひと時もスマホを手放さず、何度ものぞき込んでいたことからも普段の生活が推し量れます。

『先生は高校生で彼氏彼女ができることをどう思う？』とストレートな質問を受けました。私は『○○を犠牲にしてまで勉強しろ！』等とは絶対に言わない主義です。必要に応じて試験前などは部活動を抑えるような指導をすることはありますが、全て切り捨てて取り組む勉強にはあまり人間味を感じません。

『彼氏彼女、いいと思うよ。勉強の妨げという人もいるけど、きちんと切り替えが出来れば全く問題ない。中高生が恋愛やゲームを制限されるのは切り替えが出来ずに四六時中そればかりになってしまうからだと思う。だから今、ずっとスマホを気にしているのは感心できないな。』

『彼氏彼女がいることで勉強意欲になることもあると思うよ。一緒の大学に行きたいとか励みあって互いに伸ばそうと思うとか… だから恋愛が一概に悪いとは言えないと思うよ。実際、彼氏彼女が出来たから成績が伸びた先輩方もたくさん見ているしね。』

『一番いけないのは“彼氏彼女が出来たから成績落ちた”と言い訳の材料にすること。せっかく心の底から敬愛できる相手を見つけたのにそれを言い訳に使ってはいけないと思うな。反対に彼氏彼女が出来たから成績が落ちたと言われたくないっていうモチベーションで高校生活を一層熱心に取り組んだ先輩がいたよ。』

話を聞くとご家庭でも学校でも男女交際は否定的だったそうで、私が是認したのは意外だったそうです。ただ、やるべきことを疎かにしていたことには気付いてくれてその日以降は意識を変える日々を送ってくれたそうです。

中学生高校生で彼氏彼女が欲しいと思うことは極めて自然なことだと思います。そんな気持ちを押し殺してまで過ごす学生生活は何か不自然なように思います。それならもっと正直に過ごせた方が良いのではないでしょうか。

この章はご本人には承諾を得て掲載しています。ご家庭とも折につけ連携を取りましたが…詳細は割愛します。