今回は最近少しショックだったことを述べていきます。少し愚痴のような話になりますが学習塾選定において着目してほしいと思うことについて述べますのでお付き合い頂ければ幸いです。
学習塾を運営する中で生徒数の確保は必要条件です。従って新たな入会者が増えるよう、生徒が辞めぬような運営を行っていきます。そのため長期休み前や定期試験・通知票発行のあとに来る生徒募集期では有象無象の学習塾が折込を行います。その中で塾が一番喜ぶお問合せは『塾生の○○ちゃんが通って成果が出ているから・・・』という紹介入会です。
すでに通っている生徒さんは自身の学習内容に満足し、第三者から見ても伸びている時、『彼・彼女のようになりたい』と思って教室にご連絡を頂けることは嬉しいことです。しかし、世の中には紹介をそう捉えていない塾も少なからずあることを知りました。
先日、生徒さんから『先生、塾辞めてもいい?』と唐突に聞かれました。半分泣き顔、と言った様子でした。その生徒さん、大々的ではないにしろ、コンスタントに成績を積み上げており、いわば順調な生徒さんでした。前回通塾の際にも『次の試験も頑張るからね!』とまだ2ヶ月以上先の試験対策に対してガッツポーズを見せてくれていました。それが・・・
何か理由があると思って話を聞いたところ、友だちの通っている塾は生徒さん一人一人に紹介のノルマがあり、それをクリアできないとどんどん扱いが下がってしまう。最終的には学習指導も進路指導も社員ではなくアルバイト主導になってしまうのでそれを助けたいと思ったそうです。生徒さんの優しさにつけ込んだひどい話です。
生徒さんが塾に通うことを『お金』としか見ない塾、確かにあります。日々の様子や卒業したお兄さんお姉さんのことなど一切聞かずに『友だちを紹介して!』ばかりを生徒に言う塾も知っています。でも、それって・・・少し違うように思いませんか?
在籍している生徒さんにノルマとして塾のチラシやパンフレットを押しつけて紹介させる、紹介してくれた生徒さんが出るとみんなの前でこれ見よがしに金品を渡す、何だか悪徳商法やブラック企業と言われる会社の営業手法に酷似しているように思います。学習塾は世相を映す鏡なのかな・・・とも思いました。
友だちのために迷っている生徒さんに私はこう言いました。『キミの友達のためにこの塾を辞めるのは構わない。でもそれでキミの友だちが解放されることにはならないと思うよ。一人紹介すれば二人、更に三人とエスカレートするからね。それに君自身がゆくゆくはそういう立場になることを忘れちゃいけないよね!?』
後刻電話でお母さんと話したところ、生徒さんは自分のことを顧みられずに友達のことばかり考えていたそうです。しかし私が『辞めても良いよ』と言ったことで目が覚めたようだ、とのことでした。お母さんに『絶対に塾辞めないから』と泣きながら宣言したそうです。
塾は結果が全てです。そう言った考えで運営している教室から結果が出せるとは思いません。今はどこの塾でも『成績保証』と銘打っていますが、授業の様子を見れば一目瞭然です。集中して演習しているか、講師や周りの生徒さんとしゃべり続けているかだけでも分かります。生徒さんの友達は『授業中ウルサくて・・・』と言っていたことも念頭にあったのではないでしょうか。
授業中うるさいことについては典型的な営業主導塾と言えるでしょう。うるさい⇒注意する⇒つまらなくて嫌いな勉強をしなければ・・・⇒塾が面白くない⇒塾を辞める、このような発想の元で退塾者を出すことを忌避し、授業中の私語や悪ふざけを注意しない学習塾は存在します。それでは結果を出せる塾にはなれないのではないでしょうか。この点についてはまた改めて述べたいと思います。
上記の塾、今は生徒数をぐんぐん伸ばしているそうです。こうなってしまうと小欄で述べたことは『負け犬の遠吠え』となってしまいますが、このような環境にお子さんを預けたいと思いますか? 学習塾選びの一助に、そして学習塾運営に対する警鐘としてご一考頂ければと思っています。