学校で行われる定期テストで中位ぐらいの成績を取っていれば平均だから安心、こういった生徒さんはかなりの数になると思います。決して間違った考え方ではありません。塾の教室内でも同様です。ここで『決して間違った考え方では・・・』としたのは正しい考え方でもないと思っているからです。
公立小中学校において、教室内の児童・生徒を学力で選抜・選別していません。従って全国的に見てトップクラスの学力を持つ児童・生徒も1~2学年下の学習が覚束ない児童・生徒も混在しています。また、クラスごとの総学力・平均点もばらつきがあります。同様に学校間の格差も然るべきです。
これは集団授業をメインに行う塾を運営している業界の先輩から伺った話ですが、このような背景から集団塾で毎年一定のレベル(合格率)を保つことは難しいとのことです。非常に熱心な生徒さんが一握りでもいればその生徒さん達がクラスを引っ張っていく、そうならない年は・・・となるそうです。
ここで間違えないで欲しいことは『競争相手は教室の外にいる』ことです。受験で競うべき相手は違う学校の生徒さんです。競うべき相手が見えない中で競うことは実は非常に大変なことだと思うのです。しかしそれをやり遂げることが受験なのではないでしょうか。机を並べている人は多くの場合が仲間なのです。助け合い、高め合う仲間なのではないかと思うのです。
学校を卒業して社会人になれば見えない競争相手だらけです。世界中を相手に競うようにもなるのではないでしょうか。20世紀後半、世界情勢において英国病が大きな課題となりました。情勢が大きく異なるので安易には述べられないのですが、現在の日本においても『かつて一流国だった日本が陥った病』に罹患する可能性が大いに見られます。その危機に『鉄の女』が救世主の如く出現するとは限りません。そうなったとき、自身で打開する力を持つことも大切だと思うのです。その力を養う時期は早ければ早いほど有効なのだと思います。
毎年海外から日本へ学びに来る留学生は増加の一途をたどっています。2017年度には26万人を超えました。そうなると『教室で何番』『学校で何番』『クラス平均が・・・』などという微視的な捉え方では不十分なのではないでしょうか。そうなるともっと普遍的な目標や目安が大切になるように思います。