LS WILLの定期テスト対策は基本的に全範囲に目を通せるように進めます。生徒さんの『ここが苦手』という自己申告、教室にストックしてある教務データをすりあわせて・・・と言う方法も可能ではありますが、日々進む学校授業をきちんと補完するには全範囲を網羅する方が漏れなく進められるのです。日々進む学習の中で小さなほころびが出来てしまうことがあり、それを補うには全範囲に目を通す方が間違いなくカバーできます。
しかし・・・今回は少しネガティヴな気持ちも込めて議論を進めたいと思います。試験範囲について、です。学習塾全体を論じるわけではありませんが、少なくてもLS WILLでは進度予定・進捗計画が存在しています。従って試験前に『終わらないから・・・1コマの授業で3コマ分の内容を詰め込もう!』とはなりません。
しかし、学校進度はそのようにはなっていないようです。試験範囲が非常に狭い時があれば、その倍以上が範囲になることがある、しかもそれが繰り返される・・・ このような状態で生徒さんの能力・学力を正しく判定することが出来るのか、極めて疑問です。範囲が広ければ当然出題も粗くなるか偏るかとなってしまいます。
ここに一例を挙げてみます。2017年度の中学2年生、後期期末試験(2018年2月実施)の社会は歴史が14ページ(江戸時代の産業・文化・幕政改革)、地理は38ページ(日本地理のうち、中四国~中部地方)、合計52ページでした。当該学年が3年生に上がり、最初の試験が2018年6月にあります。そのうち社会は歴史86ページ(幕末~第二次世界対戦)です。高校時代に日本史を履修していたお父さん・お母さんであればこの量が非常識なことは明白です。ましてや江戸時代までの単純なものが明治になって海外情勢も加味されることにより非常に複雑化する時期です。このテストでは平均点が低くなるだろうな、そう思っています。
英語は毎年巻末(つまり年度末です)に近付くとごまかされているような終わり方になっています。2017年度の中学1年生、後期期末試験の範囲は117ページまで。しかし教科書は159ページまであります。もちろん巻末資料などもありますので全てと言うつもりはありませんが、『学習しなければならない範囲』が終わっていないのでは・・・と勘ぐってしまいます。因みに当該学年の生徒さんが中学2年に進級した際、試験範囲のスタートは中2用教科書からスタート、でした。カットしたところには中1英語のまとめという重要なエッセンスがあったのに・・・それを試験という形で学ばせないなんて・・・と思います。
同じく2018年度の中学2・3年生、前期中間試験において数学が末期的症状です。まず中学3年生の試験範囲は62ページ、そのうち2年生範囲が35ページ・3年生範囲が27ページ、中学2年生では試験範囲が90ページ、その内訳は1年範囲が65ページ、2年範囲が25ページ。多少の積み残しを次学年に繰り越すことはあってもこれは少し度が過ぎているように思うのです。恐らく、いや、間違いなく中学3年生の数学は入試日までに適正な形で終わっていることはないと思います。
まぁ、そう言った背景から『学校はアテにならない』と考えてしまえば我々も気が楽なのですが・・・ 基本的に生徒さんは、お子さんは学校が大好きなのです。そして学校の先生に敬意を持っているのです。従って我々学習塾が学校進度を大幅に追い越すような運営をすることは学校授業を疎かにしてしまい、それが内申点にも大きな悪影響を及ぼす原因となってしまいます。悪い言葉ですが、『学習塾は学校に合わせて手を抜かなければならない』と放言した先達もいました。さすがに言い過ぎだと思いますが・・・
少し脱線したので定期試験範囲の話に戻ります。年間進めなくてはならない範囲・ページ数を定期テストの回数(千葉市なら4回)で割り、各月の学習進度や毎回の試験範囲をある程度自動的かつ強制的に縛っておくことも手段かもしれません。よく言われる『教職員の負担』については授業内容をきちんとマニュアライズし、管理された授業計画によって授業が運営されるのなら・・・逆に負担は減ると思います。
特に受験を控えた中学3年生はかわいそうです。学校進度がせめてもう少し早く・・・となっていたら最終的な結果が違っていた受験生が何人出るかと思うと・・・ 因みにLS WILLの授業運営をここにまとめるとこのような形です。学校進度に従って進めるのは中学3年の夏休み前まで、夏休み以降は一気にスピードを上げ、遅くとも年末までに中学校内容の各論が仕上がるように進めます。完成後は実戦問題・過去問などを行うため、決して早い進度ではありません。
しかし公立中学校の進め方は・・・中学3年生の2月末までに、卒業式の前日までに教科書が終われば良い、そうお考えのようです。近年でも『中学の勉強は高校受験のためにあるのではない!』と仰った先生がいらっしゃるようですが、それは甚だしい現実逃避なのではないでしょうか。疾病ややむにやまれぬ事情を除けばほぼ100%の中学3年生が高校に進学する、その事実はどのようにお考えになっているのか、興味深いところです。
これらを踏まえて考えれば『中学3年第一回定期試験で半分以上が中2の範囲』というのはいかに常識の欠如した進め方かご理解頂けるかと思います。しかし中学校で教える側が『中学校の勉強は高校受験の・・・』云々と発言している中、劇的な改善は難しいと思っています。それならせめてLS WILLの教室に通っている生徒さんはきちんと守ってあげたいと思っています。