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261 入試総括 ~その②~

261 入試総括 ~その②~

本章は前章からの続きです。ここでは理科社会について述べていきます。一昔前なら理科・社会は2科目合わせて1科目、として扱っている塾も少なくなかったと思います。当時は両科目とも『覚えておけば何とかなる科目』だったからです。両科目を『暗記科目』と位置づけている保護者様も少なくないと思いますが、その概念は一度捨てて下さい。

理科4分野(物理・化学・生物・地学範囲)から偏りなく出題されています。オールラウンドな学習が必要となります。近年の傾向としては難問と言われる出題は減った一方で『簡単な問題を難しく出す』出題形式に戸惑う受験生が多く、サービス問題に分類される出題でも正答率が50%を切るもの・標準問題でも正答率1割台の問題も出ています。これは資料や実験を融合させた出題によく見られる傾向です。これらの対策については体系的に行う必要があります。これらにより、サービス問題が『得点できる問題』として受け取れる準備となるのです。

理科に限っては『どうしても苦手・・・』という生徒さんが一定数存在します。どうしても・・・と言う生徒さんに対しては最後の手段として『物理・化学を切り捨てる』こともあり得ます。それは『物理と生物』『化学と地学』などの融合問題は限られた箇所だけとなるため、そこの処置だけを行って『生物・地学を徹底する』方法もないわけではありません。ただ、繰り返しますがこの方法は『最後の手段』です。

社会地歴公民の各分野からバランスを取って出題されていますが、単元の明確な区分がない問題も少なくありません。これらの融合問題については学校授業だけで準備することは難しいようです。また、理科と同様に資料・史料・地図などを読み取る問題も多く出題されていますので日常の学習から『文章だけを読むのではなく、テキストの本文脇や欄外にある資料などにも気を配った学習』が求められます。また、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)などに代表される時事問題に近い出題も準備が必要です。

理科と違って社会では切り捨てる単元を挙げることが難しい出題傾向になっています。上記にもある通り、社会では融合問題が相当数出題されます。『歴史と地理』『歴史と公民』『地理と公民』などのパターンが頻繁に見られます。そうなったときに一方の単元を切り捨てていると全滅があり得るからです。出題されにくい単元(本当に小さな単元ですが・・・)を部分的に切り落とすことはあっても、大胆にばっさり・・・とはなかなかやりにくい科目です。

理科・社会の共通した傾向(決して両科目を一括りにしているわけではありませんので念のため)として『記号問題が多いこと』『記述問題は難易度に関係なく正答率が極端に落ちること』が挙げられます。記号問題については『記号問題=簡単な問題』という世間の定説(?)は成り立ちません。却って『引っ掛け選択肢』にはまってしまう受験生も非常に多いからです。受験生は出題形式に固執しない準備が必要です。また、記述問題については準備に一定期間がかかります。直前の準備(『冬期講習にやろう!』など)では受験準備が後手に回ってしまう恐れがあります。出来れば夏期講習には扱いたい題材です。

入試傾向が変わるごとに生徒さんには大きな負担がかかります。しかしそれはこれからの時代に要求されるものが重く、大きくなっていることの表れだと思うのです。学習塾の責務としてそれらの生徒さんに対してのマニュアル・指標でありたいと思っています。