本章は少し長い話となりますので本章・次章と分割して掲載致します。併せてご覧下さい。
春も終わり、夏が近付く時期になると前年度の入試総括を終え、次年度の入試作成という段階に入ってきます。近年は大学入試改革の影響を受け、高校入試・中学入試が大きく変化しています。我々も「昨年度がこうだったから今年も・・・」「前に受験した生徒が・・・」という経験値がそのまま反映させられない昨今の動向については機敏に反応しなければならない状態が続いています。
中学受験については国・私立中学校の英語入試を採用した学校の数についてお伝えしたいと思います。首都圏では2017年度入試では95校だったものが111校(16校・17%増)となりました。関西圏では24校から47校(23校・95%増)となっていることも踏まえ、今後も増加の一途と考える方が妥当だと思います。
高校受験英語については東京都公立高校入試で2019年度入試(2019年2~3月実施)に英語のスピーキングを導入する予定で、他にも大阪などが導入に向けての動きを見せています。スピーキングについては多様な表現を要求するものではなく、ある程度の定型句を軸に学習することで対応することができる内容となっています。つまり「基本の反復トレーニング」が求められるのです。
英語については新聞紙上を始めとしたメディアでも数多く語られているのでここでは割愛します。問題は他の科目なのではと思います。むしろ、表だって語られていない分、知っているか知らないかの大きな岐路となるような内容だと思うのです。
全てをこの画面上に掲載することは難しいのでかいつまんで数点ご紹介します。まずは数学です。
数学の苦手な生徒さんは『難しい問題は捨てて大問1の計算問題だけは満点を取れ』と指導されていませんか? 数学が苦手ではない生徒さんにとってはクリアできる課題かもしれませんが、そうではない場合には少し厄介かもしれません。近年、大問1の計算は難化傾向を示しており、引っ掛け要素の強い出題が続いています。それらに対して満点を取りたいならきちんとした自己分析と傾向対策をしなくてはならない状態が続いています。一例を挙げると2018年度千葉県前期の大問1、(6)は因数分解でしたが、単純に因数分解を行うものではなく『置き換え』を利用して解く、等が求められるのです。
国語については二点を踏まえなければなりません。一点目は読解における問題文の難化・長文化傾向です。これは年度により例外的な出題もあるのですが、きちんとした対応をしているかどうかが顕著に分かれるため、必須の準備と言えるのではないでしょうか。これに付随してそれらの問題文をきちんと理解できているかを問う記述問題に対する準備も従前以上に必要となるようです。
国語の二点目は作文です。この問題は配点も大きく、絶対に外せないものですが、2018年度千葉県公立高校入試では2割以上の受験生が得点できていませんでした。これは出題傾向が大きく変わって難化傾向が見られること、そして『たかが作文』と対策を軽視する受験生が非常に多いことに起因していると思います。
理科・社会については次章に掲載致します。併せてご覧下さい。