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258 学習指導要領を読む

258 学習指導要領を読む

教科書改訂がないとなかなか確認しないものに学習指導要領があります。学習指導要領は教科書を元にこの単元をどのように指導するかを示したもの、言うなれば学校の先生が授業を行うマニュアルです。正直なところ、私も一言一句を精読しているかと問われれば「ゴメンナサイ・・・」となるのですが、趣旨だけは日常的に確認しなくてはと思う資料の一つです。

ただ、毎回の改訂における大きなポイントは日頃の指導で常に念頭に置くようにしています。2011年改定(小学生では2011年、中学生では2012年から始まりました)で挙げられる一つに『下限規定』があります。従来は『上限規定』が設けられていました。つまり『これ以上は小学校では・中学校では教えてはいけませんというシステム・縛りです。

上限規定に対しての『下限規定』とは『最低でもここまでは教えて下さい。やるべき事をやれば発展的な内容でもOKですよ』というものです。恐らくこの規定については2018年現在の学校現場でも賛否が分かれていると思います。授業運営に秀でた先生に当たればこんなことやあんなことまで教われるのに、そうではない場合は・・・

しかし現実的には小学校の先生が中学内容まで踏み込んで学校授業として指導されている例はあまり見聞きしていません。しかし、一つ大きな動きがあるのです。それが中学受験です。例えば中学入試でこのような問題が出た場合は・・・

【例題】
鶴と亀が合わせて50匹いました。それぞれの全ての足を合わせると120本ありました。鶴と亀は何匹ずついますか?

【従来の解法】・・・ざっくりと例示します。
全てが鶴なら2本足なので
50×2=100 ・・・ ①
問題では120本の足となっているので20本足りない。亀の足は鶴の足より2本多いので
20÷2=10 ・・・ 亀の数
鶴と亀は合わせて50匹なので
50-10=40 ・・・ 鶴の数
答 鶴40匹・亀10匹
確かめ算
40×2+10×4=120 ・・・ OK

これが『下限規定』なら以下のような解き方も可能となるのです。

下限規定での解き方】
鶴(aと置く)と亀(bと置く)、合わせて50匹いる ・・・ a+b=50 ・・・ ①
それぞれの足は120本ある             ・・・ 2×a+4×b=120 ・・・ ②
二つの式を連立方程式として解く
(解法省略)
‘a=40 b=10
鶴は40匹 亀は10匹

上記は少し極端な例ですが、従前中学入試算数ではタブーとされていた方程式の利用も可能な学校が増えています。それまでは『解き方として正しいか否か』ではなく、『小学校で学習した内容で解いたか否か』という観点でしたが、下限規定により中学生で学ぶ内容で作った解答も拒否できなくなったからです。

とはいえ、小学生に学校で方程式を学ばせる・・・と考えるのは非現実的です。しかし、だからこそ塾では生徒さんが理解しやすい方法で学習する個別学習計画を作って解くことが出来るよう指導したいなと思います。

特に小学6年生の『文字と式』(千葉市では例年5月頃に学習する学校が多いようです)はまさに一次方程式です。小学6年生のテキストにこのような問題もあるのです。
9×aー75=87
因みにこのテキスト、受験用ではなく、学校補習用のテキストです。学校教科書にも同様の問題が掲載されています。でも・・・これは紛うことなく『一次方程式』ですよね!?

学校の先生が指導されている解法で分かりにくいなら・・・様々な方法を試してみる価値は十分にあると思います。ただ、いきなり小学生に一次方程式で解けるように・・・としてしまうとまず理解が追いつきません。そのポイントは教室で詳しくご説明致します。お気軽にお越し下さい。