巷間では『算数数学は男子が、国語は女子が得意』だと言われます。統計を見てもそれらを裏付ける数値が出されています。それはなぜなのか、どんなところに論拠するのか考えています。しかしそれらは恐らく環境や背景によって大きく変わるものなのではないでしょうか。私個人としては、小中学生の期間において能力は全く関係ないのではないかと考えています。
ただ、私の経験則で面白い傾向があることも記すべきでしょう。
仕事柄、生徒さんの学校用ノートや教科書を見せて貰う機会が時々あります。その時、国語の成績が高い値で安定している生徒さんのノート・教科書には品の良い落書き(?)があることが多いように感じます。教科書の写真にちょっとした落書きを加えること、どなたにも経験があると思いますが…
遡って話を聞くと、小さい頃にお絵描きが好きだったという生徒さんがよく見られます。それも風景のスケッチなど本格的なものではなく、絵本を読んでそこから空想を膨らませるなどの他愛ないものですが… しかし、これが国語力の構築に大きな役割を果たすのではないかと思っています。
問題文を読んでも答が見つからずに煮詰まってしまう生徒さん(特に小学生の生徒さん)に私から『問題文の情景を簡単な絵にしてごらん』と助言することがあります。そうすることによって読み落としていた部分に気付き、そこから一気に解き進められることがあります。意外に単純なことですが、絵に描くことで読み落としていたこと(描けば空白になるので気付けることが多いようです)があぶり出されます。
これと全く同じ原理なのが小学算数・中学数学の文章題です。『文章で書かれると分からない』という生徒さんに『問題文をまず図式化してごらん』『その図を式にしてごらん』と誘導することによって意外にも解けるようになる生徒さんが多いのです。もっとも『図を描く』『それを式にする』はちょっとしたコツが必要なのですが…
ただ、初段階できちんと絵を描いていた生徒さんもやがて面倒になって絵を描かなくなっていきます。多くの生徒さんはその段階でクリアできることが多いのですが、中には『また解らなくなった…』という生徒さんもいます。そういった時はもう一度絵や図を描いて考えて貰うようにします。それを何回か繰り返せばクリアできるようになるのです。
でも、『たかがお絵描き』と軽視してしまうのはその生徒さんの将来を考える上でもったいないと思います。また『教科書やノートへの落書きは絶対にダメ!』と厳しく向き合う(本来はこれが大人の役目ではありますが…)のはいかがなものでしょうか。もちろん、『程度の問題』はありますが…