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229 英語だけで良いのか・・・!?

229 英語だけで良いのか・・・!?

近年の指導要領改訂入試改革などは本当に目まぐるしく変わり、その情報源がない方は本当に不安な思いをされていると思います。変更が頻繁『長期的視野に立った指導』がなかなか立脚しないと嘆かれる学校関係者も少なくありません。

特に英語の大学入試は従来の試験形態から『外部試験の活用』『四技能重視』など大きく変わってしまうことが予測されています。しかし一方で東京大学は『外部試験は入試に組み込まない』とする見解を示しました。東京大学がそう考えるなら・・・と追従する大学が出ることも予想に難くありません。そうなればどうするか・・・と議論が分かれるところです。

昨今は英語の『外部試験』『四技能』ばかりに注目が集まるようですが、その本質は違うように思います。今回、一連の改革では『旧来の悪弊』を改善することが大きな目的となっています。その中で記述に対する能力』を最大限点数に反映させることも大きなポイントとなるように思います。

記述で求められることは自身の考えを相手に伝える』語彙力、表現力です。きちんとした日本語で相手に伝える(答案用紙に書く)ことが求められます。この際必要なものの一つに『正しい日本語』が挙げられます。普段使っているから・・・と油断しがちですがなかなか難しいことです。平素を考えれば私自身冷や汗をかいてしまう内容ですが・・・

問題を一つ、以下の二文のうち、正しい方を選んで下さい。
① この問題、すご易しい。
② この問題、すご易しい。
形容詞『すごい』の使い方(活用)についてです。

この問題、正解は②です。①のように『すご』とした場合はそれに続く言葉が体言でなくてはなりません。(すごい問題・すごい、などのように使います)文法的な言葉で説明すると『すごい○○』は連体形(『すごい。』となれば終止形です)になるため、○○に入る言葉は体言となるのです。

正解の②は『すごく(連用形)+用言』となっているので正しい使い方です。用言とは『動詞・形容詞・形容動詞』を指します。上記のような表現を含め、日本語の誤用・文法の間違いがある文章はもちろん減点対象となります。

簡単な・・・と思われる方が大半だと思いますが、現状では某国営放送のアナウンサーでさえ上記が上手く使い分けられていない時があります。つまり、大多数の日本人が間違えてしまう可能性を持っている問題箇所なのです。大多数が間違うならテストでも見逃され・・・ることはありません。日本語文法は正確な答案作りに必要なものなのです。しかもこれがほぼ全教科にわたって必要なこととなれば事態は急を要します。

文法だけではありません。文字数にもよりますが、構成の検討を要する問題に対しても準備しなくてはなりません。ここまで考えると英語の変革に対する準備以上のものを考えなくてはならなくなります。現状で『英語が・・・』『四技能入試が・・・』と安易に動きがちですが、それ以上に記述問題に対応できるだけの文章力・表現力・語彙力・構成力が求められるのです。

記述対策、と言うとどうしても国語力と思われがちですが、厳密に考えれば別物です。国語の勉強をしているから・国語は得意だから、として記述対策をしない生徒さんも時として見られますが、あまり賢策ではありません。記述は技術で克服することが出来ます。だからこそ方法論として記述対策をしておく必要があります。