学習塾の運営に携わっていると様々な生徒さんに接することが出来ます。元気のいい生徒さんとおとなしい生徒さん、自分で考えて動く生徒さんと指示をきっちり守る生徒さん、勉強が得意な生徒さんと部活動に一生懸命な生徒さん等々… 決してどちらが良い・悪いという尺度で測れるものではありません。最終的にはそれらを含めてどう導いていくかの一点です。
その中でも我々の社会的責任である『志望進路を勝ち取ること』『成績を向上させること』に焦点を当てていくとある一定の法則が浮かび上がってくるのです。誰だって思い望んだ将来をつかみたい、成績を上げたいと思っています。しかし全ての人が、となると話は違ってくるのではないでしょうか。
教室では中学3年生の2月末を以って卒業する生徒さんに『合格体験記』を書いてもらうことがあります。成績推移などかなり微細に書いてくれるため、かえって小欄に掲載出来なくなったり他の生徒さんに見せられないようになってしまうのは痛し痒しですが、それ以外にも掲載できない理由があります。それは『当たり前すぎるぐらい当たり前』なことが多いためです。
『よく頑張ったね!』という生徒さんほど特別な勉強方法は取らず、オーソドックスな勉強をまさに薄紙を重ねる思いで積み重ねています。もちろん、隙間時間の活用など得られる教訓は少なくないのですが、幹の部分は本当に基本的なことです。教材にしても奇をてらったものより王道のものを理解し尽くすことに重点を置いていることが解ります。
また、勉強時間についても『中学3年になってからは1日5時間!』などというケースはほとんど見られません。土日は8時間!と頑張った生徒さんは何人かいましたが『夜を徹して勉強!』というケースもなかったように思います。(私から『習慣的な徹夜勉強は身に付かないから禁止!』と言っているせいもあると思いますが…)
そう書いてしまうと『受験勉強って楽ちんなのでは?』と思われてしまいますが、そうではないと思います。毎日1時間、受験生になれば2~3時間を日々積み重ねることは並大抵の努力ではできないのです。『今日一日ぐらいは』という気持ちに毎日打ち勝たなくてはならないのですから楽ではありません。
そう考えると受験勉強の極意は『頭で解っていることを毎日きちんと実践する』ことなのではないかと思います。『毎日漢字と単語、計算練習をする』『学校ワークは学校授業で進んだ分だけ毎日やる』『今日やるべきことを今日完成させる』、いずれも卒業した先輩方が後輩たちのために残した言葉です。特に目新しいことはありません。しかし非常に重く感じます。
今日一日にやるべきことは微々たることです。ちょっとした頑張りで出来る、と言ってもいいでしょう。しかしそれを一年365日、三年1,095日重ねることこそが非常に尊いことなのではないかと思います。