column_archive_header_s
215 授業と笑顔

215 授業と笑顔

皆さんはこの二つの言葉をどう思いますか? お父様お母様の世代が小学生・中学生だったころは『そんなのは不謹慎!と言われていた時代ではありませんでしたか? 私自身もそう教わったことを覚えています。

私の小学校1・2年生の時の担任の先生は非常に厳しい先生でした。授業中に笑うことなどもってのほか、授業中はノートに書き込むとき以外は手を膝の上において話を聞くよう指導されていました。先生ご自身が戦前教育を受けられた方だったのでやむを得ないと思います。その先生は私が6年生の時に定年を迎えられました。私は落ち着きのない子だったので授業を聞くことより如何に行儀よく授業時間を過ごすかの方に意識が取られていたことを覚えています。

このことを思い出したのはもう数年前のことでした。この教室に体験授業を受けた生徒さん、翌日に報告面談を行いました。そこでお母様より『授業中に笑っている生徒さんがいて…』とのことで入会を辞退されたことがありました。私としては授業中に笑うことを禁じる考えはないことをお伝えし、頂いたお申し出を甘受しました。

自宅などで学習している際はなかなか笑うことはありません。しかし友達と机を並べて頑張っていればホッとするタイミングが合致することがあります。そんなときに一言二言交わしたり笑顔を交わしたりすることは実は非常に大切なことなのです。『家で勉強すると1時間も持たないのに、塾で勉強すると2時間やっても余力があるよ!』という生徒さんも大勢います。笑顔はそれだけ緊張緩和に役立っているのではないでしょうか

授業中に『笑う』ことは脳科学の観点からも学習効率を上げることが立証されており、特に記憶の促進に有用とされています。また、人気予備校講師の授業は一部を除いて笑い声でにぎやかな授業が繰り広げられています。もちろん、授業を進めるという大原則に沿っていることは前提ですが、皆が黒板に向かって黙々と…という授業は現在希少なのではないでしょうか。

LS WILL では授業運営をする側、つまり私や講師も授業中に冗談を言うことがあります。特に難解な数学の証明を理解して貰おうという時や英語の超重要構文の説明を行う時にはほぼ必ず、と言っていいほど冗談を交えます。生徒さんは笑うことによって『難しい!』という緊張を緩和することができ、また、笑うことにより印象に残りやすくなることを狙っています。

また、机間巡視の際に誤答を見つけた時も同様です。『間違っているよ』という指摘は生徒さんによっては傷付いてしまい、結果として自分の書いた答えを隠すようになります。そうなってしまうと我々が誤答を発見するタイミングが遅れ、深刻な状況になることもあるのです。そうしないために冗談を交えて間違いをオープンにしやすい雰囲気づくりを行うのです。

また、授業中に笑顔があれば生徒さんからもものが言いやすい雰囲気を作ることが出来ます。緊張の糸が張りつめている中であなたは質問が出来ますか? 少なくとも私はできません。しんとした中、しかも『私はこれが解りません』という勇気はなかなか出ないのではないでしょうか。

何より授業が終わって帰宅する際、笑顔で帰れるかも大切なことです。それが出来れば帰宅してからの学習も頑張れるようです。『笑顔で帰宅⇒宿題の正答率』についても現在考察中です。しかし、笑顔で帰宅できれば次に通塾するときには絶対にプラスになる筈です。

緊張感漂う雰囲気で鉛筆が紙の上を走る音しかしない教室をご希望の方には申し訳ないのですが、LS WILL ではそうした見てくれの良さは求めていません。事ある毎に発信しているのですが、塾は成果が求められる場です。生徒さんにとってプラスになる方法を日夜試行錯誤しています。