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211 古典の世界

211 古典の世界

授業で古文の学習をしていると『?』と思うことがよくあります。その多くは『古典常識』にまつわることです。現代と古文が書かれた時代では認識のずれがあり、それを踏まえて読み進めないととんでもない勘違いを抱えたまま・・・となってしまいます。

代表的なものでは教科書にも出てくる『平家物語』の一節にある『扇の的』、生徒さんから『鏑矢(かぶらや)ってなに?』と聞かれたことがありました。鏑矢とは源平合戦の時代に代表される武具で、当時は主に合戦の始まりを告げるものとして用いられました。射ると大きな音が出て周りに響き渡ります。『矢合わせの鏑矢』などの使い方をします。『さぁ、合戦を開始しますよ。』という合図で使う矢、としても良いでしょう。

そう説明したところ、生徒さんは『そんなことせずに相手が油断しているところを攻め込めば良いのに・・・』とのこと。現代では正論ですが当時の合戦は美意識が強く働いており、ただ勝てば良いという認識ではなかったのではないか、ここまでを理解して欲しいのです。

甲冑にしても西洋甲冑と違って日本の甲冑は非常に華やかです。逆の見方をすれば『目立って』しまいます。目立たない方が安全なのに・・・と考えるのは現代の考え方なのでは・・・と理解できるまでになって欲しいのです。

古典常識にまつわる話はネタが尽きないので授業が長引く要因ともなっています(笑)が、これらを理解することは古文や歴史に強い関心を持つことが出来る重要な要素になり得るものです。一つで良いのできっかけとして学んでみませんか?