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207 合格実績

207 合格実績

学習塾は受験が終わるころになると次年度の生徒募集を行うために大々的な広告を打つところが多く見られます。その際、違和感を感じるのは私だけでしょうか。

どこの塾も『〇〇高校〇名合格』『千葉御三家私立中学〇名合格』、中には生徒さんの名前や出身学校、顔写真までつけてという広告が見られます。宣伝、という意味では効果的なのでしょうが、セキュリティ面ではどうでしょうか。

地域の中で「隣の〇〇さんは△□中学に合格した」や「お向かいの〇〇君は□〇大学」などはある意味自然な話です。しかしそれが広告投下地域全てに知られてしまうとなると事情は違います。在籍・出身学校の情報は紛れもない個人情報です。それらを塾の広告のために地域下の不特定多数に知らしめてしまうのは問題です。

また、数年前に話題となった「水増し合格」の件についても同様です。実際問題として私自身が「うちの塾から〇〇高校には〇〇名合格しました」と言っても周りの方は確かめる術を持ちません。そういった点を突いたいい加減な広告が巷間跋扈している現実が悲しくなります。

さらにはニュアンス的な観点なのですが、受験生が「その塾・予備校に通うことによって合格を勝ち得たのか」「塾や予備校はどこでもよかった。合格したのは本人の頑張りのためなのか」という見方もできるのではないでしょうか。前者の多い塾・予備校は進路・学校情報などをふんだんにそろえ、各方面にも太いパイプを持たなくてはなりません。塾・予備校主導での進路指導もなされています。

反対に後者は受験生が辞めずに通い続けられるような環境が求められます。この場合、結果が出ているかどうか(点数が上がっているかどうか)は判断材料ではありません。受験生がどこを受験したかさえ把握していない塾・予備校も実は存在します。

受験の全てを一人で成し遂げること、ご家庭内で完結させることは相当な困難が伴います。従って塾・予備校や学校がそれを主導する形で受験を進めることが通例です。学校が受験を主導できる場合、塾・予備校は一歩引いた形で進めていくことがいい形ではないでしょうか。学校が受験を主導できない場合(担任の先生がまだ経験が浅い、中学受験、など)だけ塾や予備校が主導することが大切です。

しかしそれらを全て『塾・予備校の手柄』としてしまうような広告手法、しかもそれは生徒さんの個人情報漏洩にもつながりかねない形で行われていることに首を傾げざるを得ない日々が続きます。