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190 小学生の・・・

190 小学生の・・・

毎年年明けから春先に至るまで教材会社や業界団体・教育系シンクタンクの勉強会・交流会・講演などが盛んに行われます。新年度に向けての準備が行われるのです。特に学校指導要領の変更が絡んでくると講演会は盛況で会場によっては立錐の余地もなくなる程です。

2018年1月から春先にかけての勉強会で一番の目玉は『小学英語』です。私自身も持っていた概念を大きく覆された衝撃的な内容となりそうで戦々恐々としています。では、一問一答形式でご説明しましょう。

問)小学英語って要は中学英語の前倒しで行うんでしょ?
答)小学英語と中学英語の連綿性はありますが、小学英語では基本的に『文法』という概念を持たせずに行います。従って小学生の時点で『三人称・単数・現在形の“s”が・・・』という話にはなりません。前倒しとは違った形、すなわち中学校で学ぶ内容とは異なった形で行われます。

問)小学英語で出遅れても中学校で巻き返せるんでしょ?
答)これは『No』です。上記にもあるように小学生でやることと中学生でやる内容は違います。従って小学生時代の積み残しは中学学習内容とは別に積み直さなければならないのです。

問)小学英語は『聞く』『話す』だけでしょ?
答)今回の英語学習で最大の特徴は『4技能の学習』です。4技能とは『読む』『書く』『聞く』『話す』を指します。小学英語では『聞く』『話す』だけがクローズアップされていますが、『読む』『書く』も要求されます。さらに小学英語の特徴として『発表する』があります。その単元で学んだ構文を元に設定に合わせた文章に変えて発表することも学習内容として含まれてきます。

問)小学校の現場で英語はどの程度期待できるの?
答)統計で『英語・英語指導に自信がある』と答えた小学校教師は2.9%『小学校教師で英検準一級以上の取得率は1.0%です。さらに教員間でスキルの差が出てしまうことも現在の大きな問題です。勿論ネイティヴの補助教員が授業をサポートすることも指導要領に盛り込まれています。従って大きな問題になることはない、とされていますが・・・

問)小学英語が始まることによって中学英語で変化することは?
答)基本的には大きく変わらないとされています。しかし『小学校で学ぶ単語』が約700個定められており、これは中学校で学ぶものと重複しません。中学校ではそれとは別に約1,400個の単語を学ぶように定められています。従って高校受験では2,000個以上の単語が必要とされるようになります。因みに改訂前の高校受験に必要な単語数は約1,500個、この差は一目瞭然です。

問)中学受験を英語で受験することは可能?
答)各私立中学校で入試ご担当の先生方に伺った話では、まだ多くの学校が検討中という段階です。しかし『将来的には必ず導入するだろう』とおっしゃる声は非常に多く耳にしています。現在でも既に導入した私立中学校が相当数あります。

学校現場ではまだまだ試行錯誤、混乱の最中です。しかし、英語は大学受験の要であり、大学生になってもほぼ全員が学ばなくてはならない唯一の科目です。だからこそ後手に回ることは許されないのではないかと思います。