column_archive_header_s
187 改善されないのかな・・・

187 改善されないのかな・・・

ずいぶん昔の話ですが・・・ 来塾した生徒さんにいつもの元気が全く見られず、鈍感な私にも『何かあったのかな』と気付かれてしまうような様子でした。私に対しては『無理をして普通に接しなくては・・・』という意識で力ない作り笑顔を見せていました。

こういった状態、あまり回りくどい方法で話を聞き出そうとすると核心に至らないことがあるので、フランクに、しかし直球で『元気ないけど何かあった?』と質しました。生徒さんにも少し逡巡する様子が見られましたが、意を決したように話し始めてくれました。

『学校、荒れててさ。イジメがすごいんだ。』『今日もみんなの前で陰口を言われてさ・・・』『1対1で言われるなら言い返しようもあるけど、男子が集団になってみんなが口々に言うから言い返せなくてさ・・・』『同じような思いをしている女子、クラスにたくさんいるよ』一度言葉が出てくるとそれは止めどなく続きました。

生徒さん同士のトラブルに過敏な反応は逆効果を生むこともあるので慎重にしなければなりません。ただ、この場合は『多数対個人である点』『被害が広範に出ている点』について学校側は検証しなければならなかったのではないでしょうか。

また、学校授業もイジメの加害者が仕切っていて(先生方では舵が取れなくなっていたそうです)まともな授業ではなかった、とも聞いています。

これらの温床になっているのが『クラスLINE』の存在です。生徒さんに聞いたところ、クラスメイトの殆ど(携帯を持っている生徒はほぼ入っているようです)がそのLINEに入っていて、先生はその存在を知らないそうです。また、クラスや学年の掲示板(いわゆる『裏アカウント』と呼ばれるものです)でも匿名の心ない言葉が飛び交っている、との話を別筋から伺いました。

学校でのイジメはなくならないものなのでしょうか。学校の先生が気付かないのか、はたまた隠蔽体質が抜けないのか、いずれにしても改善される様子が見られません。2016年度に認知されたイジメは32万件、そこから漏れているものも少なくないと思います。隠蔽は論外としても『生徒同士でじゃれ合っていると思った』という言い訳の何と多いことか・・・ それは教員が生徒さんの心の内に踏み込んでいないから気付けないだけなのではないでしょうか。

以前西東京で学習塾の教室運営をしていた折、地域中学校の先生が来塾されて『イジメ防止に協力して欲しい。何かあったら情報提供して欲しい。』とご挨拶を頂いたことがありました。私がその教室に勤務している間はそのようなことを耳目にすることはなく、連絡を取り合うこともありませんでした。しかしそれは学習塾にもイジメ防止の協力を依頼する先生方の熱意があってこそではないでしょうか。

最近は・・・そういった熱意を見ることもありません。非常に残念です。『報告を上げない=自分のクラスにはイジメがない』と錯覚しているならそれは間違いであることに気付いて下さい。場合によっては生徒さんの一生を左右しかねないことなのです。