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186 大処着墨

186 大処着墨

先日生徒さんと話していて『好きな食べ物は先に食べるか後に食べるか・・・』という他愛のない話になりました。一人っ子や二人兄弟姉妹の生徒さんは好きなものを最後に食べるという回答が多く、兄弟姉妹の多い生徒さんは好きなものをまず最初に食べるという意見が優勢でした。

これはその時々で変わっていくものです。また『好きな食べ物』ではなく『好きなこと』とした場合には『私ね、好きなことしかしないよ』と言う意見を出した生徒さんもいました。最近は『ゲームばかりしていて・・・』という言葉がすぐに想起されますが、『好きなことしかしないよ』と言えることも決して悪いことではないと思うのです。好きなことに没頭できること、そのことが習慣となっていることは将来の財産になるのではないでしょうか。

好きなことに没頭することは『やらねばならぬことをきちんとやっている』ことが前提になります。やらねばならぬ事をまず最初に片付ける時に表記の『大処着墨(たいしょちゃくぼく)』が使われます。この言葉は『大切なところから着手する・片付ける』という意味、『まず最も大事なところを押さえてから筆を下ろすという意味』から転じています。

『最も大事なところ』は人によって違います。また、その人の立場によっても異なります。同じ小学生・中学生でも同じではありません。中学生でも『勉強が大事』『部活動や習い事が大事』『友達関係が今は一番』と様々な意見が出てくると思います。勿論、それは正しい選択をせねばならず、『勉強したくないから部活動が大事』『部活動がきついから友達と一緒に遊びに行くことが大事』では全く意味が違ってしまいます。

小学生中学生と言えど、今一番大切にしなければならないことは判断できなくてはいけません。その上で順序立てした対応を行っていくべきなのではないでしょうか。『好きなこと』ではなく『大切なこと』を重視してやっていくことはほんの少しだけ勇気を求められます。しかし正しい判断が出来ていればそれを後押ししてくれるのではないでしょうか。